一般のドライバーが自家用車でお客を運ぶライドシェアが、10月9日に新潟市南区で始まった。政令指定都市の新潟市で唯一、鉄道の駅がない新潟市南区。夕方以降にタクシー不足が深刻化することから、ライドシェアへの期待感が高まっている。
新潟市内で唯一、鉄道の駅がなく、市民の移動手段はバスやタクシーがほとんどで、公共交通網の整備が課題となっていた新潟市南区。花角知事は「地域にある交通資源をフル活用しようと。大変期待する有望な確保策の一つが日本版ライドシェア」と期待を寄せる。これまで県内では、佐渡市でライドシェアの実証実験を行っている。これは自治体が主体となっていたが、南区でのライドシェアはタクシー会社2社が主体となって運営。タクシー会社が研修のサポートや事故時の対応などを行うもので、県内初の試みだ。すでに6人のドライバーの稼働が決まっている。
ライドシェアに使用される自家用車には前方に「ライドシェア」と書かれたライトが点灯。夜間は暗闇でも安心して車両を見つけることができる。また、配車は専用のアプリで行い、目的地を事前に登録。決済もスマホ上で完結するため、運転手とお金のやりとりはない。運賃は通常のタクシーと変わりないという。
アプリで距離を認識するため、メーターの設置がないことから、ドライバーにとっても参入のハードルが低くなっている。ドライバーは「スマホはもとから持っているので、ナビはアプリを入れて使うだけ」と話す。また、通常のタクシードライバーは2種免許の取得や、最大3カ月の研修が必要だが、ライドシェアのドライバーは普通免許で運転が可能で研修も比較的短期間だという。始めるに当たっての本人への経済的負担もないため、参入を検討しやすい条件となっている。
ライドシェアを運営する泉観光バスの関塚政行社長は「南区全体の交通空白をなくすというところを精いっぱい進めていければ」と話す。ライドシェアは午後5時~午後9時59分まで新潟市南区内を毎日運行する予定だ。