1970年代初頭。スイスの小さな村で起きたブラスバンドを巡る騒動は、実際に起きたことだそうだ。家父長制度や女性参政権運動を背景にしながら、変化していく時代の家族のすれ違いや変化への恐れなどが、ユーモアと風刺をもって描かれる。
長年ワインを作りながら、地元のブラスバンドを指揮してきたアロイスに反旗が翻る。「もう、あなたの指揮では演奏の腕はこれ以上、上達しない」と、バンドメンバーがプロの音楽家を招(しょう)聘(へい)してしまうのだ。
その男はあろうことか、アロイスにとって昔の恋敵であり、大事にしてきた村の伝統をないがしろにする人物だった。
変化とは痛みを伴うものだ。スクリーンの中のドタバタに人ごとのように大口を開けて笑っていたら、身に覚えのある空回りばかり。ウチアタイしながらスイスの自然に癒やされる。(スターシアターズ・榮慶子)
◇25日からシネマパレットで上映【スターシアターズ・榮慶子の映画コレ見た?】ロール・ザ・ドラ…の画像はこちら >>