女児7人“わいせつ”元保育士に懲役15年求刑 被害児童「寝言で“やめて”」「夜中に泣き叫ぶ症状」法廷で語られた事件後の苦しみ

勤務していた保育園で、7人の女児らにわいせつな行為をしたとして起訴されている元保育士・長田凪巧(なぐみ)被告(27)の裁判が15日に東京地方裁判所(室橋秀紀裁判長)で結審した。
検察側は「保育士という立場を悪用し、性的知識が乏しく抵抗できない子どもに対し、連続して犯行に及んでおり、極めて卑劣で悪質。被害者らの心身に与えた影響は甚大で、結果は重大だ」として懲役15年の実刑を求刑した。
一方の弁護側は、「非難されるべき犯行ではあるが、被告人は捜査段階から犯行をすべて認め、反省している」として寛大な判決を求めた。
被害児童保護者ら、厳罰求め意見陳述15日の裁判では、被害者参加制度により出廷した被害児童の保護者らも意見陳述を行った。
「娘は保育園から帰ってすぐに、被害のことを私たちに話しました。お昼寝の時間になぐみ先生に押し入れに呼ばれ、目隠しをして、口に何かを入れられた、と。話してはいけないと口止めされたといい、娘は複雑な表情でした。この時の娘の顔が今も頭から離れません。
長田は逮捕されましたが、私たち家族は被害前と同じ生活は送れていません。私も毎日泣き続けています。娘は『やめて』と寝言で言うこともあります。5歳だった娘がなぜこんなにつらい思いをしなければならないのか、胸がつぶれる思いです。私たちは未来がつぶされ、苦しい生活がいつまで続くだろうかと先が見えませんが、長田は裁判で『出所したら』と未来を見ていました。性犯罪は心の殺人と聞いたことがありますが、その通りだと思います。私たちは長田を決して許せません」
Cちゃんの母親は涙ながらに訴え、傍聴席からもすすり泣く声が聞こえた。
Gちゃんの保護者は、代理人(弁護士)が代読した陳述書の中で、被告人は子どもたちへの犯罪だけではなく、「日本のすべての男性保育士の信頼をゆるがす重大な犯罪を行った」と訴えた。
また、被告人の裁判での態度について「自己弁護に終始し、犯行の原因を病気や意志の弱さにするなど他責的で、罪を軽くしようとする浅はかさが許しがたかった。犯行は病気のせいではなく、被告人の人格のせいだ」として、厳罰を求めた。
Fちゃんの保護者は、先に行われた証人尋問で被告人が被害者を選んだ理由について「特別な理由はない」などと繰り返したことに対し、「幼児であれば誰でもよかったのでしょうか?」と被告人に問いかけた。
事件発覚後、性病の検査として採血を行ったというEちゃんの父親は「採血をしている娘を見ているのはつらかった。被告人は取り返しのつかないことをした。去勢し、一生独房から出てこないでほしい」と訴えた。
Dちゃんには現在「夜中に突然泣き叫ぶ症状がある」といい、保護者は「保育園などでこれ以上同じことが起きないよう社会制度の見直しを強く求めます」と記された陳述書を提出した。
「ただただ私が卑劣な犯罪者であった」検察官による論告と求刑、弁護人による弁論は冒頭の通り。その後、被害者参加人2人の代理人による弁論も行われ、いずれも長期にわたる実刑が相当であると主張した。
裁判の最後、裁判長に促された被告人は証言台に座り、以下のように最終陳述を行った。
「私が自分勝手な、自分の欲を満たすために、何の罪もない子どもたちを被害者にしてしまった事実。消えることのない傷を負わせてしまったことも事実です。被害弁償が何もできていないのも事実で、私自身の知識のなさ、甘さが招いたことです。私のしたことは許されるべきではないことは重々わかっています。してしまったことに対しての…(沈黙)…言い訳は一切なく、ただただ私が卑劣な犯罪者であったこと。被害者の方々には、心から申し訳なく思っており、ただその一心です。弁解の余地もありません。本当に申し訳ありませんでした」
判決は来月14日に言い渡される。

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