脱線のいすみ鉄道、運行再開は10月下旬目標 全線路安全確認へ 現場枕木「11月交換完了の予定だった」

4日にいすみ市で脱線事故が起きて全線運休中のいすみ鉄道は7日、大多喜町役場で記者会見し、今月末の運行再開を目標にしていると明らかにした。脱線した車両自体は9~10日にクレーン車などで移動予定だが、全線の線路の点検と安全確認を終えてから、運行を再開する方針。地域住民や観光客を運んでいたローカル鉄道の停止は長引く。記者会見で古竹孝一社長は「事故を重く受け止める。事故のあった場所だけでなく、全線で(安全の)見直しをして、安心した形でスタートしたい」と説明した。
古竹社長は会見冒頭、事故について謝罪。「ご不安、ご不便をおかけし、心よりおわび申し上げます」と述べ、頭を深々と下げた。同社によると、脱線車両は大多喜駅(大多喜町)に運ぶ。その後、大原駅(いすみ市)から上総中野駅(大多喜町)に及ぶ全線約27キロの線路状況の安全確認に入る。
いすみ鉄道では2013年12月、大多喜町内の西畑―上総中野間で脱線が起きているが、古竹社長はその際の原因を「枕木が問題だった」と言及。今回も現状では「車両ではなく保線の問題と考えている」とし「(線路を支える)木製の枕木の劣化が影響したのかもしれない」との見方を示した。
現場付近の線路について、本年度の予算で11月20日までに新しい枕木への交換整備を終わらせる予定だったとも説明。夷隅川沿いで水分量が多く、枕木が朽ちやすい地盤エリアとの認識を持っていたという。
現場周辺でレールの一部が横倒しとなっていた点は、国東悟鉄道事業部長が「今回の事故前からレールが倒れていたとは考えられない。(事故の)衝撃で倒れたと思う」と強調した。この場所では9日以降に線路設備の交換を行う予定。
同社によると、脱線は運転士が異音と揺れを感じて緊急停止措置を取り、点検して判明した。事故原因は、鉄道事故調査官を現場派遣した国の運輸安全委員会も調べている。

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