【独自】転籍先で解雇、再転籍に 千葉市内の事業者間 雇用に不安、看護師が一斉退職 訪問看護の利用者へ影響

千葉診療所(千葉市中央区)を運営する一般社団法人「千葉衛生福祉協会」(協会、同区)で、従業員約200人の事実上の整理解雇が生じたことが4日までに、関係者への取材で分かった。従業員は、依田和孝氏(50)が代表を務め訪問看護・介護事業や保育事業などを行う「在宅支援総合ケアサービス」(在宅、同市稲毛区)の元社員。在宅と協会の業務提携に伴って協会に転籍していた。転籍は在宅が社会保険料の削減を図る目的だったとされる。在宅の関係先に戻ることになった看護師が雇用に関する先行き不安などから一斉退職。訪問看護の利用者が路頭に迷う事態も招いている。
関係者によると、協会と在宅は昨年末に業務提携を実施。在宅は今年1月末、訪問看護や訪問介護、訪問入浴、保育園などを担当する社員約200人に対し2月1日付で協会へ転籍となり、個人事業主になると通告した。給与や職場はそのままで、基本給は協会が、手当などは在宅が業務委託料名目で支給するとした。
在宅からは、給与総額にかかっていた社会保険料が業務委託料を差し引いた額にかかるため、従業員も社も手元に残る金が増えるとの説明があったという。
在宅は入ってくる介護報酬などで協会が負担する基本給分を補てんしていたが、その支払いが滞ったため、協会は業務提携を解消。在宅から転籍していた従業員に8月末での業務契約の終了を宣告した。
在宅は事業の継続へ、同従業員に対して9月からは違うグループ法人に再転籍になると通知。このうち、訪問看護事業を担う看護師たちが一斉に退職を表明した。同事業が立ち行かなくなり、要介護度の高いケースが多い訪問看護の利用者に影響が出始めている。
他の事業の従業員も、再転籍の通知から3週間経過した時点でも正式な雇用契約が結ばれないなど将来に不安を感じているといい、従業員の一人は「利用者がいるので辞めたくても辞められない」と苦しい胸の内を明かし「退職者を出してまで行った転籍はそもそも社会保険料削減の手法として適法だったのか」と疑問を呈した。
在宅側は、従業員に対し、一連の転籍による社会保険料削減に違法性はないと説明しているという。
協会と在宅を巡っては金銭トラブルも判明。協会は、依田氏について、協会常務理事だった時に約4千万円を持ち出したとして、業務上横領罪などでの刑事告訴を検討し、県警に相談した。依田氏側も理事の解任に関して地位保全の訴えを千葉地裁に起こし係争中。依田氏は千葉日報社の取材に「和解の協議がもうすぐ終わるので、答えられない」としている。
関係者によると、依田氏側は約4千万円の資金移動についても、不動産の売却益を動かしたもので協会とは無関係だとして違法性を否定しているという。
依田氏は日本維新の会の衆院千葉1区支部長を務めている。

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