湾岸エリアの地価はまだ上がる? 東京都・基準地価が上昇したエリアを分析

東京都は9月17日、都内1288地点における基準地価(2024年)を公表。住宅地における地価の上昇率ランキングでは、トップ4位までの新宿区、渋谷区の地点に続き、湾岸エリアが上位に入っています。こうした結果になった背景や、今後の地価上昇の見立てについて、不動産ナビゲーターの渕ノ上弘和さんが解説します。

○湾岸タワマンの開発が地価上昇を後押し

東京都の地価調査(2024年)では、基準地上昇率において1位に「新宿区市谷船河原町」、2位に「渋谷区神宮前」がランクインしました。共に飯田橋・神宮前の再開発に起因してエリアの地価の上昇率が高くなっていると考えられます。このエリアについては、好立地の開発案件絡みで既存の土地がより一層上がるという、明確かつわかりやすい結果になったと思います。

そのような観点から上位10位を見た際に、もちろん上位の新宿区、渋谷区にフォーカスすることも面白い部分がありますが、やはり湾岸エリアの台頭は注目せざるを得ません。

5位の「有明」(江東区有明一丁目106番3外)については、国家戦略特区の有明ガーデンを軸にした「シティタワーズ東京ベイ」の流通価格の好調な価格上昇が背景にあるでしょう。また、未開発である広大な空き地の今後の発展性も期待できます。

7位、8位の「月島」(中央区月島三丁目2503番)・「佃」(中央区佃一丁目20番1外)は「グランドシティタワー月島」をはじめとした複数開発、9位の「勝どき」(中央区勝どき五丁目1004番)は「ザ 豊海タワー マリン&スカイ」を筆頭にした今後の街の整備、10位の「晴海」(晴海五丁目1番4)は言わずと知れた「HARUMI FLAG」といった案件が走っており、デベロッパーのアクションを軸に地価が上がっていると言えます。

○今後も地価は上昇し続ける

さて、湾岸エリアの地価は今後も上がり続けるのでしょうか。結論から申し上げると、湾岸・地下鉄をはじめとした計画を見る限り、エリア毎の「ムラ」はあるにせよ「アップトレンド」にあると言えます。

そもそも地価の構成要素・変数は多岐に渡ります。その中で流通における価格の影響が大きいことは、物件価格の金銭的価値が需要と供給のバランスから決定することからも明確です。

開発が完了するまではその期待値で、完了したタイミングでは眼前に現れた成果物に対して、そしてその後はその流通を通して価格が動いていきます。

今回の基準地価の上昇率を見てもわかるように、湾岸のそれぞれの街の上昇の裏側にある事象と、そのフェーズが異なることは明確です。

有明は2019年に有明ガーデンが竣工してから、流通性で価格が上昇しており、そして次の期待値が盛り上がるフェーズとなっています。晴海は街が出来上がりつつあり、タワー棟を残すのみ、勝どきはまさに建築中、佃は再開発計画の動向にも注目がされています。

こういったフェーズごとのムラを掴んでいくと、地価上昇の程度も測ることが可能となるでしょう。

○渕ノ上弘和(ふちのうえ・ひろかず)/不動産ナビゲーター

2000年に立教大学法学部法学科卒業後、コンサルタントとしてECサイト運営会社を起業すると同時に不動産コンサルタントとしても業務を開始。区分所有建物の資産価値マネジメントに従事するため、2008年より住友不動産建物サービス株式会社、2013年より株式会社東急コミュニティーにて区分所有建物の共用部分・専有部分のマネジメントに従事した後、不動産の資産性を流通の側面から評価するために、2018年にコンドミニアム・アセットマネジメント株式会社の設立代表に就任。2022年2月より株式会社MFS不動産投資事業部執行役員として不動産投資総合プラットフォームサービス・INVASEの事業責任者に就任。

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