「78歳女性が面接に…」 古から伝わる“オバチャンホンポ”にはどんな女性がいるのか潜入した

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埼玉・上尾のとある店が、定期的にネットで話題を呼んでいる。店名は「BA・BAR(ババー)オバチャンホンポ」。そのネーミングと、働く女性たちの実態にみな興味を高まらせているのだ。
店舗名の元ネタとなったであろう“某ベビー用品店”名が突然の頭痛で思い返せなくなった記者は、そのままの勢いで店に入ることを決断した。
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記者の自宅から約2時間ほどかけて現地に到着した。最寄りであるJR上尾駅からは少し離れており、徒歩で12、3分ほどか。営業開始は21時からで、隣の雀荘以外周囲には灯りが点く店がない。
ネットの情報によればジャンルは「バー」「パブ」ということであるが、窓はなく店内の様子を窺い知ることが一切できない。街灯代わりに設置されていた店外の裸電球がところどころ切れており、なんともいえぬエモさを演出している。
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SNSでは「昔からある」「相当なオバチャンが接客している」という怪情報が複数存在するものの、実際に店を体験してのレビュー投稿が極端に少ない。それゆえ、一体どんな女性たちがいる店なのか、どんな空間なのか、一切見当もつかなかった。
意を決してドアを開けると、奥から「いらっしゃいませ~」という女性の声。早速“オバチャン”とのご対面である。
出てきたのは、タイトスカート系ファッションのリカさん。続いてドレス風ワンピースのアイさん、そしてショートパンツスタイルのショウさんだった。
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当初は、関西のオバチャンのような、ヒョウ柄トレーナーにスパッツ、パーマネントのコテコテな女性を想像していた。しかし、見た目はお世辞抜きにも「オバチャン」とは言い難く、キレイなお姉さんと表現した方がしっくりきそうなレベルである。見た感じ平均年齢は32、3くらいか。
店内はカウンター席、ソファ席が複数あり、男性だけで楽しく飲んでいるグループがすでに1組。男性なら60分飲み放題3000円、女性なら2000円。時間になると男性スタッフが教えてくれるシステムだ。
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「どうぞ、どうぞ」と記者はソファ席に案内され、席に座った。
するとアイさんが奥からおしぼりを持って来てくれた。が、ソファ席の手前には絶妙な段差があり、そこにつまづいた彼女はヘッドスライディングするかのよう「ズサァァァァ」とテーブル上に倒れ込んできた。
「ああ、すいません。なんなのあの段差!」と驚きの表情を見せ、恥ずかしいのかパタパタとハンカチで顔をあおぐアイさん。しかし、一番驚いたのは記者のほうである。どんな店なのか恐る恐る周囲を見回していたさなか、突如として突進されたのだから…。
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しかし、このハプニングが記者の緊張を一気に解かせた。
その勢いのまま、失礼を承知で3人に年齢を聞いた。「スピーディーなレジ打ちが特技」と語るリカさんは43歳、「デブ猫を育てるのが得意」というアイさんは46歳、「真っ暗な部屋で一心不乱にピアノを弾きまくる」というショウさんは40歳。
「店のコンセプトに合わせるため“逆サバ”を読んでいるのでは」と直感的に思ったが、気づけばトークの内容が養命酒やビイレバー錠など「栄養をどう摂るか」という話になっていた。さらに「最近更年期がひどくって…」「この前、縄跳びしたら尿もれした」など、フレッシュなテーマに一切ならない。
流れを変えようと「一番好きなゲームは何? 僕は『NIKKE』や『原神』をやってます」と聞くと、「えー、最近全然やらない! ちょっと古いけど一番ハマったのは『ゼビウス』と『グーニーズ』かな」(※2タイトルともファミコンのソフト)と、80年代から一向に時が進まないのである。
“ちょっと古いけど”とは…。

なぜこんな珍ネームな店になったのか。店にいたオーナーに話を聞いた。
「店は12~13年前にオープンしました。コンセプトは“熟女が働く酒場”にして、店名もじつは『枯れすすき』とかいくつか候補があったんです。ですがある日、上尾で某ベビー用品店の看板を見て『オバチャンホンポ』のネーミングを思いついた。加えて、BARかスナックを頭につけようとしたんだけど、床屋に行った時「barber(バーバー)」というスペルを見て、じゃあ『BA・BAR』 (ババー)にするか、とひらめいた」との回答。
ちなみに某ベビー用品店には一度も怒られていないという。
「ネーミングが良かったのか、お陰様で定期的にTVやインターネットで話題になってお客さんが来てくれます。『こんな名前だったら私でもいけるだろ』と、杖をつかれた78歳の女性が面接に来られたこともありましたね。いまは28歳から56歳の女性が働いていて、平均年齢は30歳中盤から後半かな」(オーナー)。

席に戻り飲み直す。女性陣は都内のガールズバーのよう酒を執拗にねだるようなことはなく、終始おしゃべりを楽しんでいる。
「3人とも10代~20代の息子、娘がいるんです。みんなこの年だから、トークで何も隠すこともないの。『彼氏はいまいない』なんて嘘つく必要もないし、すべてがオープン。店名もこんなだし、お客さんも女性スタッフがギラギラしていないことはわかるはず(笑)。そんな雰囲気が、働いている私達も好きなんです」と、アイさんは語る。まさに、このギスギスしていない落ち着き感が店の魅力なのだ。
「オバチャン!」と客にイジられることはないのか聞くと、「ありますよ。でも全然イラッとしないんです。その通りだし(笑)。アンタもじいさんでしょ! ってツッコミ返してます」とアイさんは一笑。
そんなこんなでワンタイムが終了。帰り際ショウさんが、「ソファの間に小銭や鍵を落とすお客さんがよくいるのでお兄さんも気を付けてネ」と声をかけてくれた。
念の為、確認しようとリカさんと協力してソファをずらすと小銭は1枚も落ちていなかったが、なぜか寿司用のワサビが一袋ぽつんと落ちていたのだった。

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