両親と妹3人亡くした女性は自宅跡で“家族の写真”を探した「会いたいなあと思ったら見よう」伊勢湾台風上陸から65年

死者・行方不明者を5000人以上出した伊勢湾台風から、9月26日で65年です。被害を拡大させたのは「高潮」で、名古屋市南部を中心に死者・行方不明者は5000人以上に。名古屋市南区の白水小学校は、瓦礫に覆われていました。
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名古屋市南区の白水小学校では毎年、伊勢湾台風が上陸した9月26日に、4年生に語り部による授業を続けています。
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(加古美恵子さん)「玄関をあけたときにどかんと濁流が入ってきて、一気に水かさが増えたからゴンと頭をぶったのは覚えている。」当時、白水小の4年生だった加古美恵子さん75歳。あの日、両親と妹3人の家族全員を失いました。
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(加古美恵子さん)「『お母ちゃん、怖いよ』って言っているのがせいぜいでした。そのまま目をつむって流されていくうちに家族ばらばらになってしまって」家族の大切な証が、この1冊のアルバムに。
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(加古美恵子さん)「残っていた貴重な写真を思い出のよすがになるように貼っていた」高潮の水が引いた後、自宅跡で見つかった写真を集め、自分でこのアルバムを作りました。
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(加古美恵子さん)「学芸会の写真ですね。水没してはがした跡です。これは海水浴場です。内海に行った時だと思う。」表紙の裏には、当時の思いが綴られています。
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(加古美恵子さん)「『幸福であった時を思い出そう、恋しい父母、雅ちゃん、節ちゃん、よねちゃんにあいたいなあと思ったらこの写真を見よう』。(家族)6人でわいわいやっていたのに1人残されたという喪失感があった」
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災害の恐ろしさと備えの大切さを子どもたちに伝えたい。その思いから加古さんは、10年ほど前から語り部を続けています。自分の体験を語り、質問を受け付ける「双方向」の授業は教科書よりも現実味をもって伝えられると考えています。
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(加古美恵子さん)「(子どもたちが)『加古さんの話を聞いて真剣に考えました』とか、今度自分たちがそういう局面になったとき、この子たちが生き延びてくれる一助にはなっているかな」26日の授業でも、子どもたちからの質問が相次ぎました。
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(小学4年生)「実際に経験した人の話を聞くとより伝わりやすかった」「もっと過去の“災難だった”“激しかった”ことを聞いてみたい」20年ほど前の授業には、10人いた語り部ですが、65年の節目に参加できたのは4人だけ。体験者が高齢化する中で、次の世代にどう語り継ぐのか…課題は浮き彫りになっています。
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(加古美恵子さん)「生きた人の生きたお話で聞いていただいた方が、子どもたちも分かり合えるかなと思って、高齢に鞭を打って来ようと思う」

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