シャトー・メルシャンと、チリNo.1ワイナリーのコンチャ・イ・トロ社が交互にワインを造りあう「パシフィック・リンク・プロジェクト」の第2弾として9月17日より、『コンチャ・イ・トロ アミシス2022』が全国で発売される。都内で開催のメディア説明会で、担当者が意気込みを語った。
○■どんな赤ワインになった?
『コンチャ・イ・トロ アミシス2022』は、チリのグラン・クリュといわれる産地「D.O.プエンテ・アルト」のブドウを使用。豊かな果実感と滑らかなタンニンが心地よい、上品な味わいの赤ワインに仕上がっている。参考価格は1万4,300円。生産本数は約6,600本で、その半分を日本市場で販売、もう半分はコンチャ・イ・トロ社が輸出関連国などに販売する。
ヴィーニャ コンチャ・イ・トロのマルセロ・パパ氏は、この新商品について「世界クラスのカベルネ・ソーヴィニヨンの生産地として名高いD.O.プエンテ・アルトの赤ワインです。カシスやプラムの香り、杉のキャラクターに、非常に複雑で素晴らしいアタックがある、洗練された味わいの自信作です」とアピールする。また、シャトー・メルシャンの勝野泰朗氏は「深みのある生き生きとしたガーネットのような色味と、紫色の花にほどよいスパイスが寄り添った、馥郁(ふくいく)とした香りが楽しめます。フレッシュな果実感が口の中を豊かにし、滑らかなタンニンが長く余韻として残ります。適度な酸が全体のバランスを整えています」と解説する。
○■輸出事業を強化
国内のワイン市場に目を向けてみれば、ゆるやかな縮小傾向にある。その原因について、メルシャンでは「飲酒人口の減少、ワイン飲用人口の減少、ワインから他カテゴリーへの流出」と「国内のワイン市場において同質化が起きている」ことを挙げる。
そこで同社では、ワインのプレミアマイズ(高付加価値化)により差別化を図る。そのうえで国内市場に向けては、これまでワインを飲んでいなかった若年層を含めた新規ユーザーの獲得を目指す。メルシャン 代表取締役社長の大塚正光氏は「従来のマーケティング手法も改めます。ワインのライトユーザー、ミドルユーザー、ヘビーユーザーなどに分類していたターゲットの考え方も見直し、すべてのお客様の『価値観』や『ライフスタイル』を分析したうえで提案やアプローチを行っていきます」と説明する。
そして海外への輸出事業にも、より一層の注力をしていく。「新規市場を獲得し、また既存市場でもプレゼンスを上げることで魅力化と販路の拡大を狙います。アメリカ、イギリス、香港、イタリアのほか、新たにシンガポールにも展開します。ワイン輸出事業についてですが、2030年までにシャトー・メルシャンの売上構成比20%を達成したいと考えています」と大塚氏。
今後、パシフィック・リンク・プロジェクトの果たす役割はますます重要になっていく。たとえばInnovativeという観点では、次世代の造り手を日本からチリに派遣することを考えている(時期は2025年、期間は約2か月間)。Sustainableのため、日本とチリの間で「持続可能なワイン造り」について継続的に知見を交換していく。Globalを見据えて『シャトー・メルシャン 岩出甲州 アミシス』の年内シンガポール輸出を目指す。Luxuryについては「JEWELS」(コンチャ・イ・トロ社の高単価ワインを対象にした斬新なマーケティング)のプロモーションを継続する。
なお、この日のメディア説明会にはチリ共和国大使館 駐日チリ大使のリカルド・G・ロハス氏もゲスト登壇した。リカルド氏は、パシフィック・リンク・プロジェクトについて「日本とチリ、両国の伝統を結びつけるとてもユニークな取り組み」と評価する。また先日、山梨県のワイナリーを訪問したことも明かし、「とても優れたブドウとワインを生産できる産地であることを実感できました。この共同プロジェクトがさらなる成功をおさめることを願っています」と笑顔で挨拶した。
近藤謙太郎 こんどうけんたろう 1977年生まれ、早稲田大学卒業。出版社勤務を経て、フリーランスとして独立。通信業界やデジタル業界を中心に活動しており、最近はスポーツ分野やヘルスケア分野にも出没するように。日本各地、遠方の取材も大好き。趣味はカメラ、旅行、楽器の演奏など。動画の撮影と編集も楽しくなってきた。 この著者の記事一覧はこちら