「ピックアップはない」から「もうこれ以外ない」へ – 三菱「トライトン」に乗って心変わりしたワケ

「もうこれ以外にないんじゃないか……」。三菱自動車の新型「トライトン」に試乗した率直な感想である。

確かにデカい。日本の道路を走るにはデカすぎるかもしれない。荷台に荷物を積んでも、雨が降ればビシャビシャになってしまうだろう。しかし、そんな懸念を一蹴するほどの魅力と親しみやすさがトライトンにはあった。

かなりパーソナルな内容にはなるが、さっそくその詳細をレポートしたい。

クルマ選びの第一条件は「タフで頼れること」

現在はジープの「ラングラー」を愛車とする筆者だが、車検も迫ってきたし、もう十分な年月は乗ってきたので、そろそろ別のクルマに買い替えたいな~とボンヤリ考えていた。

趣味はキャンプやサーフィンなどのアウトドアアクティビティで、「荷物がたくさん積めるクルマ」であることが必須条件。神奈川県の海チカに住んでいる身としては津波への警戒心もある。高い渡河性能を誇るラングラーは何かと頼りになる存在で、今後もそれと同等のオフロード性能は求めていきたいところだ。

一方、新型ラングラーに買い替えるにはお財布的な問題が……。近年の円安の影響もあり、小刻みに値上げが繰り返された結果、ちょっと手が届きにくい価格帯になってしまったのである。

さて、どうしたものかと考えていた矢先に飛び込んできたのが、「新型トライトン、日本上陸」のニュース。えっ、なにそれ。ものすごく気になるんですけど……。
ド迫力のボディと上質なインテリアに思わず一目惚れ!

もともとピックアップトラックに憧れてはいたが、正直、自分が乗る可能性についてはあまり考えていなかった。日本では車種の選択肢が少なすぎるし、なにより車内からラゲッジスペースにアクセスできないというデメリットがデカすぎる。

しかし、ネットニュースなどで見る限り、トライトンはそれを補ってあまりあるカッコよさがあるように思えた。そして実際にお借りした試乗車「トライトン GSR」を目の当たりにしてみると……。

おいおい……。

おいおいおいおい……。

ちょ、ウソでしょ。想像の100倍カッコいいんですけど。これはヤバい。一目惚れしたかも。

フロントグリルはイカつくてド迫力だし、オールブラックで統一されたホイールも高級感があってイケている。デザインコンセプトは「BEAST MODE」(勇猛果敢)らしいが、それ、超しっくりくる……。

そして何よりこの……。

ピックアップトラックをピックアップトラックたらしめる荷台部分。この収納力はハンパじゃない。テント、チェア、テーブル、クーラーボックス、ストーブ……などなど、あらゆるキャンプ道具を載せてもまだゆとりがありそうなデカさである。

車内は意外と広々していて開放感たっぷり。ディスプレイは9インチの大画面で、Apple CarPlayがワイヤレス対応というのも嬉しい。さらには音声によるリモート操作もできるなど、インパネ周りのスペックは申し分なし。エアコンの効きもいいし、まったく文句のつけようがない。

最上級グレード「GSR」はシートや側面・背面、ヘッドレスト生地などが革張りになっていて、その高級感はいわゆる「トラック」とは明らかに一線を画している。単純に、座っていてすごく気分がいい~!

乗り心地も◎ 「憧れ」で終わらせるにはもったいないクルマだった

肝心の乗り心地はどうか。「トラックとは思えないほどなめらかな走り」というウワサは耳にしているが……言い過ぎなんじゃないの? という思いも拭えない。

今回は横浜・中華街から湾岸線沿いを磯子方面に走らせてみたが、正直、その乗り心地や取り回しの良さは想像の何倍も快適だった。

車高は高い部類に入るはずだが、ドライビングポジションはラングラーと同等かやや低いくらいなのでまったく問題なし。むしろ「いいね~、乗り慣れた感じ」という安心感さえある。フロントウィンドウも広く、視界は十分にクリアである。

一般的なトラックのような乗り心地の硬さ・悪さも皆無で、ディーゼルエンジンならではの音や振動は感じられたが、それも考えようによっては「逆に心地良いな」と思える範囲。なんせ「BEAST MODE」なんだから、ちょっとくらい荒馬っぽさを感じられなきゃツマラナイだろう。

ハンドリングはいい意味で軽過ぎず、ほどよい重厚感がある。全長5,360mm、全幅1,930mmとかなりのビッグサイズながら、運転していてその大きさが手に余る感じもない。なんなら「思ったよりデカくないぞ」というのが率直な感想だ。

試しにコンビニに停めてみると……。

全ッ然余裕! バックの際はディスプレイにバードアイビュー(上空からの映像)とリヤビュー(クルマ後方の映像)がダブルで表示されるので、この巨体も一発で難なく白枠に入れられた。ラングラーより50cmくらいは長いはずだが、そのギャップはまるで感じない。

首都高速湾岸線も走ってみたが、加速はスピーディーで車体の揺れやブレも極めて少なかった。トライトンには路面状態に合わせたドライブモードが7つ設定されているそうだが、この日はそのあたりの細かな性能までは試せず。しかし、街中をこれほど快適に走れるとわかっただけでも大きな収穫である。

サイズはさほど気にならなかった。狭い路地裏は厳しいかもしれないが、そういう場所はハナから避ければいい。荷台にトノカバーを付ければ雨も防げるだろう。今後は買えない理由を探すのではなく、買ったあとの付き合い方を探りたい。そう考えを改めたくなるほど、トライトンは魅力的で親しみやすいクルマだった。何より、マジでカッコいいし。

いや~ホント、もうこれ以外はないかも。今買えば何カ月で納車されるのか、試しにディーラーさんに聞きに行ってみよ~っと。

猿川佑 さるかわゆう この著者の記事一覧はこちら

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