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フォルクスワーゲン(VW)の「ゴルフ」といえば、今年で誕生から50年の世界的ロングセラーモデルです。車名の由来はスポーツの「ゴルフ」だと思われがちなのですが、実は違うんです!
ヒントは自然現象?
当時のVWは、車名に海流や風などの自然現象を採用するのが大好きでした。
――正解は次のページで!
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○問題をおさらい!
正解はこちら!
○【答え】メキシコ湾流「Der Golfstrom」
VW「ゴルフ」の車名は、「メキシコ湾流」を意味するドイツ語の「Der Golfstrom」から名付けられました。
「Golf」のスペルはスポーツのゴルフと同じですが、ドイツ語では「入り江」や「湾」という意味があります。ちなみにメキシコ湾流とは、メキシコ湾からフロリダ海峡を抜け、アメリカの東海岸を経て大西洋を横切り、ヨーロッパに向かって流れる暖流のこと。緯度が高いヨーロッパに穏やかな天候をもたらす要因にもなっています。英語表記だと「Gulf Stream」(ガルフ ストリーム)になります。
初代ゴルフはメキシコ湾流をさかのぼって米国に上陸し(つまりVWが輸出したのですが)、人気モデルになりました。彼の地では「ガルフ」ではなく、「ラビット」(うさぎ)という名前で販売されたのも面白いところです。
「ゴルフ」のスポーツモデルである「GTI」がゴルフボール型のシフトノブを装着していたこともあり、車名の由来をスポーツだと思い込んだ人が多かったのかもしれません。VW特有の茶目っ気だったのでしょうが、けっこう紛らわしいですよね(笑)。また、ゴルフボール型のドアロックピンも発売されています。
今年で発売50周年を迎えたゴルフですが、いまだに初代や2代目のヤングクラシックモデルが人気を保っています。エンジン横置きのコンパクトなFF 2ボックスボディに太いCピラーという伝統的スタイルは、8代目となる最新モデルまで連綿と引き継がれていて、どの世代を見ても一目でゴルフとわかるのが特徴です。
他のモデルでは、ゴルフのセダン版である「Jetta」(ジェッタ)は「ジェット気流」、「Vento」(ヴェント)はポルトガルからイタリアに吹く風、「Bora」(ボーラ)はアドリア海に吹く冬の北風、クーペモデルの「Scirocco」(シロッコ)はサハラ砂漠に吹き荒れる熱風、上級の「Passat」(パサート)は貿易風から車名を採用しています。
ただし、全てのモデルが自然現象から名前を取っているわけではありません。例えばゴルフの弟分である「Polo」(ポロ)は、馬術競技の「ポロ」と東方見聞録を記した「マルコ・ポーロ」が由来。小型車の「up!」(アップ)は、先代モデルがラテン語でオオカミを意味する「Lupo」(ルポ)を名乗っていたのですが、真ん中の2文字を抜き取って車名にしたといいます。言葉遊びのようなネーミングですね。
それでは、次回をお楽しみに!
原アキラ はらあきら 1983年、某通信社写真部に入社。カメラマン、デスクを経験後、デジタル部門で自動車を担当。週1本、年間50本の試乗記を約5年間執筆。現在フリーで各メディアに記事を発表中。試乗会、発表会に関わらず、自ら写真を撮影することを信条とする。 この著者の記事一覧はこちら