【安藤優子の本音】「選挙に勝てる顔」ではなく「わたしたち」の総裁を

自民党の派閥は長らく総裁候補を出すための「装置」として機能してきました。自らの派閥から総裁を何人出すことができてきたかが、そのままその派閥の勢力に直結し、自派閥から何人の議員を閣僚名簿にねじ込めるかの決め手にもなってきました。
つまり、派閥間の権力闘争のもっとも激烈な舞台が総裁選というわけです。かつて三木武夫元首相が「諸悪の根源は総裁選にあり」と言って、札束が乱れ飛ぶような金権政治からの刷新を唱えて脱派閥を試みましたが、結果は失敗に終わりました。そして岸田さんの派閥解消宣言から迎える今回の総裁選。現在までに10人以上が名乗りを上げる、もしくはこれから上げようとしています。派閥のしばりは表向きなくなり、誰もが自由に意志をもって出馬ができる環境になったのです。
ただ出馬することと、実際に総裁選という権力闘争を勝ち抜くことは、まったく別次元の力関係が働くと考えます。勝つためには、それなりのまとまった「数」の固まりをつくりあげる力が必要になるからです。だから、アドホックな、その場限りの「派閥のようなもの」ができるかもしれません。
そこで、考えるのは「総裁選は誰のものか」ということです。党の代表を選ぶのだから「自民党のための総裁選」でしょう。が、総裁は現状ではほぼ間違いなく「首相」になるのだから「国民のためのもの」でもあるのです。というか、この国のリーダーを選ぶのですから理屈としては「わたしたちのもの」であるべきです。
投票する自民党の議員や党員・党友のみなさん、ぜひ「次の選挙に勝てる顔」という内向きな基準ではなく、この国をどうしていきたいのか、という明確で力強いリーダーシップを見極めて「わたしたちの」ために総裁を選んでくださいませ。(キャスター・安藤優子)

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