「友人との交流や、勉強できるスペースがほしい」-。高校生から“若者の居場所”を求める要望を受けて、市原市は五井駅前のサンプラザ市原の生涯学習センターに自習室を開設した。予約不要で誰もが無料で使えるため、市内外の高校生らは喜んで活用している。
市は昨年夏、「若者の居場所づくり」をテーマにワークショップを開き、参加した高校生から「自習室がほしい」との声が出た。若者の要望を実現させるため、サンプラザ市原の市生涯学習センターの一画を活用することを決めた。既存スペースを生かし、いちはら市民大学で使用する学習室を自習室とし、エレベーターホール横の空間は交流スペースにした。
提案メンバーの一人、市原中央高校3年の市原彩愛さん(18)は「小湊鉄道をはじめ市内の列車やバスなどの公共交通機関は本数が少ないので、待ち時間を有効活用したいと思い自習室を要望した」と説明。市内には公立図書館やカフェもあるが高校生から「さまざまな人がいて(勉強するには)集中しにくい」「図書館などは駅から遠く利用しづらい」との指摘もあり、好立地の五井駅前に決まった。
利用する際は、受け付けで「自習室」「交流スペース」のいずれか一方を選択する。自習室は30席あり、静かに学習できる空間を整えた。
交流スペースでは趣味や学校行事の話題などを自由に話し合える。将来的には若者の声を集めて市への要望・提案する場としての活用も目指す。市原さんは「自分の高校で実現できないことも、他校の生徒と交流により可能になることもある。垣根を越えた交流で若者が活躍できる環境がつくれれば」と期待する。
運営するのは、市内外の若者による地域活性化団体「のろし」。市から事業を受託し、生徒や学生、社会人のスタッフが開設時間に常駐する。市原さんもメンバーに入っている。
6月末にオープンしてから、市内外の高校生に徐々に浸透。活発に利用され、テスト期間を中心にリピーターも増えているという。
今後はイベント開催も予定しており、市原さんは「普段会えない人と交流できる貴重な場所。自分の視野が広がると思うのでぜひ利用を」と呼びかけた。
開設時間は、原則毎週火・金曜の午後4~7時。高校のテスト期間などは火・金曜以外も開く予定。