「令和の米騒動」 コメ不足はあくまでも“一時的” 「無理に買いに走らなくても新米は出る」 値段は去年よりも1.5倍ほど高いかも…

全国各地のスーパーから米が消えています。「令和の米騒動」ともいわれる、この状況。「米を取り巻く最新事情」を取材しました。
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ボリューム満点の定食が売りの名古屋市天白区の「洋食亭 寅安(とらやす)」。おいしそうな特製唐揚げ定食の値段は、980円。どのメニューも「安い!旨い!」だけでなく「デカ盛りグルメ」として知られています。店が仕入れる米は毎週約50キロ。店から客へのメッセージは「ごはんは1人で食べきれる分を注文してほしい」ということ。定食に付くごはんのサイズは大・中・小の3種類。「小」がお茶碗1杯で約300グラム。「中」がお茶碗2杯分です。そして…。
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(報告:松田亘哲記者)「大・中・小、どれを頼んでも値段は一緒です」なんと「大」は1杯が2.5合分。重さは約1キロです!
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太っ腹な「寅安」のご主人に、このところの「米騒動」についてうかがうと…。(洋食亭 寅安 山本康雄 代表)「この2~3か月で(米25キロで)2000円くらい上がった。苦しいことは苦しいけど、しょうがない。やっぱり満足してもらうことが一番だと思うので、大盛りを食べてもらって満足してもらう。(Q:これからも続けていく?)そうですね、僕が死ぬまで。死んだら、うちの妻が一人でやる」夫婦2人で切り盛りする「寅安」。伝統の「デカ盛り」を守るため、この夏を何とか耐えて乗り切りたいと話すご主人でした。
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(報告:平岩洵人記者)「こちらのスーパー、一角がお米コーナーなのですが、2キロのもの、5キロのもの、10キロのものまで、たくさん並べられています」21日、名古屋市内にあるスーパーでは、店頭に米は並んでいました。しかし、在庫は売り場に置いてあるもののみ。さらに!(サンエース 商品本部長 宮下裕基さん)「去年と比較して2割~3割ほど高くなっています。(5キロ米は)200円~400円ほど高くなっている」
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また、8月8日に起きた日向灘の地震後に米を買い占める人がいたことも影響し、現在も品薄が続いていると宮下さんは話します。(サンエース 商品本部長 宮下裕基さん)「地震が起きた翌日、翌々日と(売り上げは)200~300%の伸び率。不安で、お一人さまで何袋も買われたお客さまが多数いました」いずれにしても消費者の間には動揺が広がっています。(買い物客)「お米は、めちゃ食べるのでなくなると困るなって思います」「夏の間は麺類に昼だけでも代えようかなと思ったり」
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では一体、なぜ品薄になっているのか?JAあいち経済連を訪ねました。(JAあいち経済連 米穀部 中村隆志さん)「(去年は)暑かったり害虫の被害があったり。特に高温の影響が大きかった」まず、根底には去年の「猛暑」の影響で、米の品質が低下し流通量が減少していることがあります。そこに新型コロナが5類に移行したことでインバウンド需要が回復。その影響で米の需要が想定以上に伸び、今の品薄状態が起きているということです。
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農林水産省が公表している米の需要量のデータです。ことし3月時点での見通しでは、去年9月の新米の出回る時期から、この8月までの間の需要量は全国で681万トン。しかし、7月末の速報値では、さらに20万トンも多い702万トンに修正されました。
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一方、こちらは米の在庫量。ことし6月末時点では156万トン。2009年からの15年間のデータでは最も在庫量が少なくなっているのです。では、適正な在庫量とは一体どれほどなのか?
(JAあいち経済連 米穀部 中村隆志さん)「適正在庫量は180万トン~200万トン。(156万トンは)やはり足りないという不足感が出る数字。(Q:全くないという訳ではない?)日本から全て米がなくなるとか、どこのスーパーも(米が)ずっとなくなるわけではない」米が完全に消えてしまう事態にはならないということで安心しましたが、今回取材したスーパーの店頭の状況が示しているように価格高騰は起きています。
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去年、JAグループなどが卸売業者に販売した2023年産の米の取引価格は、前の年より14%も高くなりました。その影響が新米に切り替わる今のタイミングで出てきたといいます。ただし「これは一時的なものだと思う」とJAの中村さんは話します。(JAあいち経済連 米穀部 中村隆志さん)「愛知県では、お盆過ぎから『あきたこまち』や『コシヒカリ』、全国では9月下旬ごろから各地の新米が収穫されて店頭に並び始めるので、そうなれば米不足は解消されるのではないか」
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今回取材した名古屋市内のスーパーでは去年は25種類ほどの商品を扱っていましたが、猛暑の影響で今は17種類に減ってしまったということでした。しかし、今後の米不足については。(サンエース 商品本部長 宮下裕基さん)「相場は去年と比べて高くなるが、今は扱っていない米が復活するので、買い物はしやすくなると思います」
では、日々米と向き合う米農家の声はいかに?愛知県岡崎市の田んぼには収穫を待つ「コシヒカリ」が。ことしの出来はというと…。
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(小久井農場 小久井孝幸 社長)「例年よりはちょっと少ないが、それでも米はたくさん取れているので、品質にも問題なく、皆さんにおいしい米が届くことを願っている。ことしは気温が高かったが、水管理を徹底することで品質の良い米を作るよう心がけた。収穫量もしっかり取れているので大丈夫です」そこで、今起きている米不足についてうかがうと。
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(小久井農場 小久井孝幸 社長)「スーパーに行くと米はないが、それは物流が止まっているのと、南海トラフ関係で米が一気に減ってしまったから。うちにもたくさん米はあるし、無理に買いに走らなくても新米は出るので大丈夫。米はたくさんあります」さらに、値段が高騰していることについては。(小久井農場 小久井孝幸 社長)「スーパーの米は、もともと安い米。5キロで2000円いかなかった物が、今は2500円まで上がっている。これがずっと続くとは思っていない。しっかりとお客さんが食べてくれることを祈っている」現在の米不足は、あくまでも一時的なもの。時間が経てば、解消されるのではということでした。そして、気になるのは新米の価格です。
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(JAあいち経済連 米穀部 中村隆志さん)「昨年、店頭で2000円前後で並んでいた物が3000円前後になると思う。1.5倍近くになろうかと思う。一方で、作るコストが非常に高止まりや高騰し続けているので、新米が出そろって大きく店頭価格が下がることは考えづらい」

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