世界初! 原子力空母に「無人機用コックピット」設置完了 “リモートワーク”の波は艦載機にも

アメリカ海軍の原子力空母に、このたび初めて無人航空機を運用するための専用ルームが開設されました。これは開発中のMQ-25無人給油機を制御するためで、順次ほかの空母にも設置していく模様です。
アメリカ海軍は2024年8月16日、原子力空母「ジョージ・H・W・ブッシュ」に世界初の「無人航空戦センター」(UAWC)を設置したと発表しました。これは人間が搭乗しない無人艦載機を運用するための設備で、アメリカ海軍が現在開発を進めているMQ-25 「スティングレイ」無人給油機を搭載するためです。
UAWCには、統合型無人空母航空ミッション・コントロール・システム(UMCS)とMD-5E地上管制ステーション(GCS)が設置され、空母でMQ-25が運用される際、ここに陣取る無人機オペレーターによって機体は遠隔操作されます。
世界初! 原子力空母に「無人機用コックピット」設置完了 “リ…の画像はこちら >>アメリカ海軍の原子力空母「ジョージ・H・W・ブッシュ」(画像:アメリカ海軍)。
無人機は、いまや軍事の世界では珍しいものではなくなっているものの、アメリカ海軍にとって空母から発着艦する艦載機としての無人機はMQ-25が初めてであり、空母単独でそれらを運用するにはUAWCのような新しい設備が不可欠でした。
なお、アメリカ海軍の説明によると、UMCSはMQ-25だけでなく、その後登場するであろう新たな無人艦載機も見越した設備のようです。
今回の発表では無人機を操縦するオペレーター席の写真も公表されています。それは、パソコンデスクのような机に、6つのディスプレイを並べたマルチスクリーンが置かれ、さらにその下には2つのサブディスプレイに2つのタブレットを配置。机の正面にはキーボードがあり、左右には無人機の操縦で使うジョイスティックとスロットルデバイスが置かれるマウントも写っていました。
一見すると軍隊というよりも、民間企業のITエンジニアか、インターネットで金融情報を確認するトレーダーの職場のような風景ですが、これは紛れもないアメリカ空母の将来の姿です。
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実際の空母で運用試験を行うMQ-25 「スティングレイ」(画像:アメリカ海軍)。
アメリカ海軍によると、空母「ジョージ・H・W・ブッシュ」だけでなく、今後は「カールビンソン」や「セオドア・ルーズベルト」、「ロナルド・レーガン」にもUAWCを設置していく予定だとか。
また、無人機を操縦するオペレーターも、従来の艦載機のパイロット(海軍飛行士)とは異なるAVP(Air Vehicle Pilots、航空機パイロット)と呼ばれる新しい役職の隊員たちが担当するそうで、無人艦載機の運用開始は、ハードウェアだけでなく海軍内部の人材にも変化を起こすようです。

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