クレカ表現規制問題に進展…山田太郎議員がVISA本社に突撃「本社は指示出してない」

最近ネット上で懸念が強まっていた「クレジットカード会社による表現規制」問題に進展の兆しだ。自民党の山田太郎参議院議員が国際系カードブランド「VISA」のアメリカ本社を訪問し、上層部から「コンテンツ規制の指示を出したことはない」との言質を取ったことで、事態が大きく動くのではと期待されているのだ。
ここ最近、アメリカを拠点とするVISAやMastercardによるクレジット決済が日本のネットサービスで突如停止になる事態が多発。昨年7月には、DMM.comとFANZAでMastercardによる決済が終了すると発表され、昨年11月には動画投稿サイト「ニコニコ」で一部Mastercardによる有料サービスの決済が停止となった。
今年に入ってからも、同人誌や成年コミックのダウンロード販売サイト「DL.Getchu.com」でVISAによるクレジット決済が停止になったほか、クリエイター支援プラットフォーム「Fantia」や同人ショップ「とらのあな」、同人作品販売サイト「DLsite」などでVISAとMastercardによる決済が一時停止になる事態が続発。利用者はもちろん、多くのクリエイターにも影響が出ていた。
騒動の背景には、アダルト系を中心にした作品へのカード会社による「表現規制」があるのではと推察されている。実際、3月には「DLsite」がカードブランド側から表現に関する要請を受けたとし、クリエイターに対して「監禁→閉じ込め」「鬼畜→超ひどい」「痴漢→秘密さわさわ」などと一部の表現を変更すると発表。特定のワードがカード会社による規制の対象になっていることをうかがわせた。
そのため、カード会社側がネットサービスのコンテンツを「検閲」し、使用されているワードなどが自社の基準に合わない場合に「決済停止」という強硬手段に出ているのではと指摘されていたのだ。
こうした事態を受けて、表現規制問題に積極的に取り組む山田議員は8月1日に米サンフランシスコのVISA本社を訪問。山田議員の17日付のSNSによると、副社長ら各責任者同席のもとで面談が行なわれ、以下のような説明を受けたという。
「取引については、合法、非合法の法的判断は行っているが、合法であるコンテンツ等に対する価値判断は行なっていない」 「アダルトコンテンツに関しても、①年齢に関するルールが遵守されていること(児童ポルノではないこと)、②合意のもとで提供されるものであること、という万国共通の基準を定め、それに基づく判断を行なっているが、内容に関する基準は定めておらず、判断もしていない」 「VISAの規約についても、本社は基準を決めているのみで、判断を行なっていない(判断を行うのは現場)」 「VISA本社は、特定の用語(キーワード)を含むコンテンツについて、取扱ってはならない、と言った指示を出した事はない」
同行した秘書によると、「合法コンテンツの取引の価値判断をしていない」「特定用語で取引規制する指示は出していない」という点については、発言した副社長に対して山田議員が3度も念押ししたという。
この山田議員の訪問によって、少なくともVISA本社は表現規制の指示を出していないという立場であることが明確になった。本社の主張を信じるならば、表現規制は「現場」であるVISAの日本法人やアクワイアラ(加盟店契約会社)などによる本社への忖度が影響していた可能性も考えられる。
上層部から言質を取ったことが影響したのかは不明だが、16日に「DL.Getchu.com」はVISAによるクレジット決済が再開したと発表した。これに続いて、他のサービスでも決済が再開される可能性がある。ただし、「DL.Getchu.com」での決済再開については「規制に屈する形で問題視された作品を販売停止にしたので再開されただけで、山田議員の本社訪問とは関係ない」との見方もあるようだ。
これをきっかけに大きく事態が動いていくことになるのか、多くのネットユーザーに影響する問題であるだけに今後に注目したい。

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