成田とフランクフルトを結ぶJAL便が、一度「成田発羽田行き」を同便名で運航したのち、羽田空港から改めてフランクフルトへと飛びました。定期便のない「成田発羽田行き」のフライトが実施されたのは、どういった理由からなのでしょうか。
2024年8月13日に運航されたJAL(日本航空)407便が、珍しい運航方法を採用しました。成田とドイツ・フランクフルトを結ぶこの便ですが、一度「成田発羽田行き」を同便名で運航したのち、羽田空港から改めてフランクフルトへと飛んだのです。定期便のない「成田発羽田行き」のフライトが実施されたのは、どういった理由からなのでしょうか。
驚短! JALで発生「成田→羽田の旅客便」なぜ出現? 定期便…の画像はこちら >>JALのボーイング787-9(乗りものニュース編集部撮影)。
成田空港では13日の深夜、アメリカの航空貨物会社が運航する「ジャンボ機」ボーイング747貨物機で、成田からロサンゼルスへフライト中、機体トラブルが発生し、成田へと引き返すというアクシデントが発生しました。この747は成田に引き返し緊急着陸したものの、タイヤが破裂し損傷を起こしたため、A滑走路の途中で停止。結果、同日朝8時ごろまで、交換作業のために同滑走路が閉鎖されるという事態に陥りました。
成田空港には2本の滑走路がほぼ平行に並んでいます。国内民間空港としては最長となる4000mのA滑走路と、2500mの長さを持つB滑走路です。アトラス航空の747は、結果的にこの長いA滑走路で長い時間立ち往生したことで、その間、成田空港は短いB滑走路しか使えない状態になったというわけです。
そこで、JALに今回のフライトが発生した経緯について聞いたところ、次のような回答でした。
「成田空港のB滑走路からはフランクフルトまで直行する燃料を搭載しての離陸ができないため、定刻出発のうえ羽田空港に乗員交代と給油のための『テクニカルランディング』することとなりました。羽田経由便となったのは、弊社には羽田~フランクフルトという便の設定がないため、成田から出発して、羽田を経由する必要がありました」(JAL)
ダイヤ上におけるJAL407便のフライトは、午前10時30分に成田空港を出発し、14時間20分フライトしたのち、フランクフルトへ現地時間17時50分に到着するというものです。しかも、ただでさえロングフライトのヨーロッパ線ですが、2024年現在、ロシアとウクライナが戦争状態であるため、国内航空会社はロシア上空を飛ぶことができないことから、平時よりさらに長い時間飛んで行かねばならない状況となっています。
そのようななかで、2500mのB滑走路から離陸し直行するのは、滑走路の長さが足りないということでしょう。この状況下で成田とフランクフルトのアクセスを確保するには、今回の「羽田経由」が最適解で、安全を最優先したゆえに至った判断といえます。
なお航空機追跡サイト「フライトレーダー24」によると、今回の「成田発羽田行き」のフライトの飛行時間は、わずか19分。2空港は直線距離で約60kmしか離れていませんが、過去にもこの区間のフライトはトラブル時の臨時的な対応として行われたことがあります。ある意味、一部コアな航空ファンには刺さってしまうような“驚短路線”だったといえますが、狙って乗るのは非常に難しいといえるでしょう。