埼玉・鴻巣の廃校で企画された「制服・浴衣撮影会」に対し、一部の政治家やネットユーザーから否定的な意見が出ている。しかし一方で「流石に言い過ぎ」「潰しに掛かるとは恐ろしい話」との声も。長年、サブカル業界を取材してきた記者の本音を記したい。
すでに閉校している小学校の旧校舎を使った今回の撮影会。若手アイドルを中心に、開催される3日間で延べ約140名もの女性が登場した。
昨年、共産党中心に反対運動が起き、中止に追い込まれたことで話題を呼んだ埼玉の「プール撮影会」などと同様、毎年各地で定期開催されている撮影イベントの一種だ。
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しかし、この撮影会に対し、「市は校舎の使用許可を出すべきではない」という意見が一部で上がった。
社民党に所属する地元の女性市議は、自身のXで「制服を着た若い女性がモデルとなりそこに一日最高4万円を払った多数の男性達がカメラを持ち集まる」「性の商品化の中で若い女性・制服・校舎という組み合わせが利用されることに対する行政の意識の希薄さに愕然とする」と批難。
それを受け、某大手新聞社は地元民の声をヒアリングした上で、「旧校舎で女性タレントら120人の制服撮影会 『性的興行』と反対も」と報じたのだった。
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別の撮影会を自ら企画し、モデルとしても出演する20代女性Aさんは市議の投稿に不快感を示す。
「廃校を使った撮影イベントは埼玉だけじゃなく、千葉、神奈川、栃木など全国各地で過去何百回も行われている。どこも問題ないと自治体が許可している証左。制服や浴衣は着崩して撮影させるわけじゃないし、批判している人たちは現場を実際に見たことあるのか。鴻巣の人たちが見たことないイベントをネガティブに膨らませ、槍玉にあげたとしか思えない」と、納得できない様子。
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記者は個人的にこれら大型撮影会に興味はないが、過去取材で何度か撮影会現地に赴いたことがある。フラットな目線で見ても、制服・浴衣の衣装は露出がほぼなく、反対意見が飛び交う対象とは到底思えない。もちろん法令に反した行為もかつて見たことがない。現場は想像以上に秩序が保たれており平和だ。
ネットでは「未成年モデルを出演させるなんて良くない」という意見も一部あったが、彼女たちは必ず親の承諾をとった上で所属する芸能事務所が稼働させている。第三者の勝手なジャッジで、撮影会が悪く、歌唱や女優活動なら良いというのは筋が通らない。同時に制服や浴衣が性的というのは個人の勝手な主観で、それを押し付けるのは反発が起きて当然だろう。
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今回の騒動は市議のSNS投稿が端緒になっている。地元のためという気持ちはわからなくもないが、「4万円」という金額をあえて記載し「おじさんが若い子に大金を払い、怪しい撮影を行っている」とアピールした部分には、悪意が込められていると感じた。
今回のイベントでは全5部(合計5時間)に参加すると割引が入って4万円だが、この金額を支払うのはかなり少数派だ。大半が1~2部だけで現場を去っていくため、1人が使う金額としては7,000円~12,000円程度の場合が多い。これだけで実情を理解していない人間の意見だということがわかる。
センセーショナルなワードで批判するならより中立に、客観的に問題点を挙げ、明らかな悪を説明した上で訴えるべきではないか。投稿が炎上し慌てて返信欄を閉じるより、ネットユーザーやファンの本音を真摯に聞いて欲しいと感じる一件だった。