猛暑の出口みえず 熱帯擾乱が偏西風の流れに影響 パリなど西欧に一時的に熱波襲来か

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日本では、厳しい残暑がまだまだ続く見込みです。台風5号は、明後日12日、北日本にかなり接近して上陸するおそれがあります。北アメリカもハリケーンシーズンです。熱帯擾乱は、大雨や暴風をもたらすだけではありません。北大西洋付近を流れる偏西風は、ハリケーンDebbyから伝わるエネルギーにより、乱れが生じてきています。今後、パリなど西ヨーロッパでは、一時的ですが、熱波に見舞われる可能性があります。
猛暑続く 熊本では20日連続で最高気温35℃以上 過去最長

今日10日午後4時までの最高気温は、全国で最も高かったのは、豊田(愛知県)で38.5℃、次いで、桑名(三重県)と名古屋で38.4℃になりました。上の図は、7月下旬から20日間の平均気温の平年差です。全国的に平年より高くなっています。今日10日、熊本と日田(大分県)は、最高気温35℃以上の猛暑日が20日連続になりました。熊本では、これまでの連続猛暑日日数の最長であった2001年の16日連続を更新しています。
偏西風の流れ 日本付近では北を流れている

偏西風は、上空で観測される地球の周りを西から東へ向かって吹いている風で、主に温度の差が原因で吹きます。南の暖かい空気と、北の冷たい空気の境で吹く風です。上の図は、8月4日から8日にかけての、上空9600メートル付近の風の流れです。緑や黄色のエリアが風が強い偏西風にあたります。日本付近では、偏西風は、北海道のずっと北を流れており、日本付近は暖かい空気に覆われていることがわかります。
暑さの出口みえず 厳しい残暑この先1か月は続く

日本付近では、このあと9月になっても、偏西風が北へ偏ったままでしょう。暑さの出口はみえません。少なくともこの先1か月は、高温傾向です。厳しい残暑はまだまだ続くでしょう。室内では、エアコンを使用するなど、熱中症対策が必要な日が続きます。体調管理にお気をつけください。
台風5号は北日本にかなり接近・上陸のおそれ 偏西風に乗れず影響長引く

台風5号が、日本の東を北上しています。今日10日午後3時、中心の気圧は985hPaです。台風5号は、今後、進路を西よりに変え、暴風域を伴って、明後日12日は北日本にかなり接近して上陸するおそれがあります。台風の影響で、東北地方では、11日から12日、総雨量が平年8月1か月分の雨量を超える大雨になるおそれがあります。海上を中心に、明日11日は非常に強い風が吹き、12日は猛烈な風が吹く所がある見込みです。土砂災害、河川の増水や氾濫、低い土地の浸水、暴風に厳重に警戒し、高波に警戒してください。上述したように、偏西風は日本付近では北を流れています。台風は偏西風に乗ることなく、動きが遅くなる可能性があります。この場合は、雨や風の影響が長引くことが考えらえます。今後、こまめに最新の台風情報をご確認ください。
ハリケーンDebby 深刻な洪水をもたらす大雨に

さて、北アメリカでは、ハリケーンDebbyが、現地時間5日午前7時、フロリダ州スタインハッチ付近に上陸しました。上陸時の中心気圧は979hPaでした。その後、ハリケーンDebbyは比較的ゆっくり北上。ジョージア州サバナSavannahで、現地時間5日に6.68インチ(約169.67ミリ)の雨を観測、降り始めの4日から7日の総雨量は10.69インチ(約271.52ミリ)になり、平年8月ひと月のおよそ2倍の雨が降るなど、深刻な洪水をもたらす大雨に見舞われました。ハリケーンDebbyは次第に勢力が衰え、熱帯低気圧になり、現地時間9日午後11時、ケベック州モントリオールの北東を進んでいます。中心の気圧は996hPaです。
ハリケーンDebbyの影響 偏西風に乱れ パリなどに熱波もたらす可能性

台風もそうですが、ハリケーンなど熱帯擾乱は、その周辺にエネルギーを伝え、偏西風の流れに影響を及ぼすことがあります。北大西洋付近を流れる偏西風は、ハリケーンDebbyから伝わるエネルギーにより、乱れが生じてきています。上の図は、ヨーロッパ中期予報センターが計算し予測した、11日(協定世界時)の上空12000メートル付近の風の流れ方です。黄色や緑のエリアが、風が強い偏西風にあたります。北大西洋からヨーロッパ付近で、11日から12日ごろ、偏西風は南北に大きく蛇行する予想です。このような状況になると、パリなど西ヨーロッパは熱波に見舞われる可能性があります。偏西風の蛇行は一時的で、熱波は続くことはない見込みですが、パリでの屋外でのイベントなど、急な暑さに対する対策が必要になることも考えられます。

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