「タケノコ王」としてバラエティー番組で親しまれる風岡直宏さん(50)が21日、静岡・富士宮市にある直売所「風岡たけのこ園」を閉店した。約15人の常連客が見守る中、店舗の看板などを自ら撤去。「人生で一番やりたいことをやりきった。すがすがしい気持ち」と晴れやかだった。今後も富士宮市に住んで竹林の手入れはしながら、都内の芸能事務所に所属して芸能活動を行う。
学生時代はトライアスロンの選手だった風岡さんは28歳の時、実家の竹林でタケノコ農家を始めた。約5000坪の土地に年間300日入り、管理してきた。テレビでは「タケノコで1億円稼ぐ男」など華やかなイメージで紹介されたが、日常は竹の伐採から肥料やりなど、ほぼ休みがないのが現実。過酷な労働から、両手のしびれが取れず、古傷の右足首は状態が悪化していた。当初は来春で閉める予定だったが、直売所に携わる家族の体調不良もあり、タイミングを早めての「農業引退」となった。
テレビではピンクを基調に派手なビジュアルで知られる風岡さんだが、閉店後の取材では「農家が1万円を稼ぐのがどれだけ大変か」「農家というのは、やはり下に見られているのは否めない」「テレビのためにタケノコを作っていたわけじゃない。体的に(土を)掘れない状況」など抱えていた思いを口にした。だからこそ「1億円稼ぐ男」などのキャッチフレーズが付いたことには、「タケノコを作って儲からないというのでは誰もやりたがらない。注目が集まったことは、この業界としてはよかったと思います。この町にもスポットがあたる手段になった」と歓迎した。
今後は政治家転身も頭に浮かんだが、「農業引退」発言を聞いてオファーをくれた都内の芸能プロダクションにお世話になることを決めた。「50歳、オールドルーキーの挑戦です。タケノコに替わって、自分が命をかける仕事。何でもやります!」。舞台は変わっても〝農家目線〟は忘れずに、エネルギッシュに活動を続けていく。