「景観100選」のケヤキ、現場判断で伐採 市長、市民に陳謝 今後は事前の情報共有徹底 市川

市川市の田中甲市長は18日の定例会見で、「いちかわ景観100選」にも選ばれた市文化会館前などの遊歩道に並ぶケヤキ16本を、雨水による浸水対策に伴う下水管入れ替え工事のために伐採したと発表した。当初は伐採せずに済む工法で進めたが「地中で見つかった埋設物を撤去する必要が生じ、伐採せざるを得なかった」として市民に陳謝し、理解を求めた。伐採が現場判断で行われた経緯も明らかになり、市は幹部を含む職員間の事前の情報共有についてもこれまで以上に努めるとしている。
伐採されたのは、通称・行徳街道で知られる県道沿いの商業施設から市立大和田小学校、文化会館手前までの遊歩道(約130メートル)の植栽帯に植えられたケヤキ。1980年代に植樹され、高さ7~8メートルに育ち、2014年には公募による「景観100選」に選ばれるなど市民に親しまれてきた。伐採は今月1~3日に行われた。
市によると、江戸川に雨水を排出する下水管について、現在の直径80センチの管から同120センチの管に取り替える工事を昨年6月から今年10月までの予定で実施。当初は、植栽帯の下にある既設管の下に穴を掘って新しい管を通す工法で進めたが、既設管の下に松の杭が下支えのため埋まっているのが見つかった。工事を進めるには杭の撤去が必要だが、工期や費用面でも「ケヤキを伐採して植栽帯に穴を掘り、杭をかき出すのが有効」と判断したという。
杭を撤去し、地中に新設管を設置した後の対応について、市長は「新たに樹木を植え復旧に努める」と説明した。
今回の伐採を巡っては、下水道部内の現場担当グループの「工事を急ぎたい」との判断で進められ、部長や課長が現場の動きを把握していなかったことが判明。今後は「樹木を大切にする」との原則の下、樹木を切る際は幹部の情報把握や市長への事前報告に努めるという。

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