市川市曽谷3の住宅で隣人の美崎明保さん=当時(74)=を蹴るなどし殺害したとして、殺人の罪に問われた同市、無職、中馬茂被告(47)の裁判員裁判の判決公判が17日、千葉地裁であり、守下実裁判長は懲役9年(求刑懲役13年)の実刑判決を言い渡した。弁護側は執行猶予付き判決を求めていた。
守下裁判長は判決で「高齢の被害者に対し一方的に蹴る、踏むといった暴行を繰り返した。当時90キロ以上あった被告の体重を考慮すれば極めて苛烈と言わざるを得ない。突発的ではあるが残忍な犯行」と指摘。「被害者の被告に対する嫌がらせが犯行を誘発させたことは否定できない」としたものの「(命を奪った)結果は取り返しがつかず、重大」と説明した。
「被告が自ら犯行を母らに告げたことで捜査機関は本件を認知した。被告は玄関先で消防隊員の到着を待ち、自ら犯人だと申告した」などとして、自首の成立は認めた。被告が公判を通して謝罪の意思を示し、事件と向き合おうとしている点も量刑の理由に挙げた。
判決によると、昨年8月15日、被告は直接話をするために美崎さん方を訪れた際に口論となり、美崎さんの顔や胸を30回前後踏みつけるなどして外傷性ショックにより死亡させた。