かつてスイスでは、胴体を付け替えることができるという、革新的なコンセプトを持つ航空機の研究をしていました。このコンセプトの採用で、どのようなメリットがあったのでしょうか。
スイスのローザンヌ連邦工科大学(EPFL)では、かつて革新的なコンセプトを持つ航空機の研究をしていました。胴体を付け替えることができる航空機「Clip-Air」です。このコンセプトを採用した場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。
驚愕の革新設計「胴体付け替え式飛行機」その凄いメリットとは?…の画像はこちら >>EPFL「Clip-Air」のイメージ(画像:EPFL)。
「Clip-Air」は、空を飛ぶために必要な全翼機「輸送モジュール」と、用途に応じて切り替わる「カプセル」で構成されます。「カプセル」は旅客機型や貨物機型などがあり、それを燃料タンクや操縦室、着陸装置などを備える「輸送モジュール」に装着し、フライトを行います。また「カプセル」はそのまま鉄道車両などに乗せ、陸路で運ぶことも可能です。
たとえば、通常、飛行機に乗ろうとすると空港直結の駅で列車を降りたのち、空港建物で手続きを行い、そこから旅客機内へ移動するといった動線になります。一方、旅客型「カプセル」を用いれば、乗客は街中からそれに乗ったまま、陸路・空路をワンストップで移動できるというわけです。
「Clip-Air」では「カプセル」を最大で3つ搭載することができます。海外メディアなどは、3つすべてに旅客型の「カプセル」を搭載した場合、一度のフライトで450人を輸送できるとしています。なお同大学は、カプセルひとつあたりの大きさは長さ約30m、重量30tで、「翼と尾翼のないA320(150~180席級のエアバスのベストセラー旅客機)程度」ながら「鉄道線路と互換性のある設計である」と紹介しています。
なお、この「Clip-Air」は2009年に研究が開始され、2013年のパリ航空ショーでは、大きさ1.2mの模型が展示されたこともありますが、実用化には至っていません。