11月の米大統領選で再選を目指す民主党のジョー・バイデン大統領(81)が11日、「絶対に間違ってはならない人物」の名前を相次いで言い間違えた。バイデン氏は先月のテレビ討論会で精彩を欠いたことをきっかけに、選挙戦からの撤退圧力が高まっている。この日の失態は、撤退派を勢いづけることとなりそうだ。
最初のミスは、ワシントンで開かれた北大西洋条約機構(NATO)首脳会議関連の会合でのこと。同席したウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領(46)を紹介する際、「みなさん、プーチン大統領です」と言い間違え。即座に間違いに気付き、ハッとした表情で「プーチンを打ち負かすゼレンスキー大統領です。プーチン氏を倒すことにフォーカスしすぎていた」と言い訳した。まさかの宿敵と間違えられたゼレンスキー氏は「いい方の人です」とジョークで切り返した。
2度目のミスは、その直後に行われた記者会見。約1時間に及ぶ質疑でバイデン氏の進退を問う質問が集中する中、「選挙を戦うのに最もふさわしいのは自分だ」と撤退を否定すると同時に、職務遂行能力を誇示して挽回を図った。だが、カマラ・ハリス副大統領(59)には大統領職を担う能力があると説明する際に「大統領の資質がなければトランプ副大統領を選んでいなかった」。なぜかライバルの名前を挙げ、言い間違えた。
バイデン氏の単独記者会見は不安が浮き彫りになった討論会後初で、約8か月ぶり。討論会に関しては「愚かな失敗をしてしまった」と弁明したが、認知機能の検査を受けるべきだとの指摘には、神経学的検査を3回受けており「私は元気だ」と反論した。医師がさらなる受診を勧めれば応じてもいいと語った。
ドナルド・トランプ氏(78)は、言い間違えの場面の動画を早速SNSに投稿。「グレートジョブ、ジョー」と嘲笑した。ニューヨーク・タイムズ紙によると、会見後も新たに3人の民主党下院議員が公然と撤退を要求し、離反した上下両院の民主党議員は計18人となった。他にも民主党支持者で知られる米俳優ジョージ・クルーニー(63)も撤退を要請している。