10分間で50ミリの雨とは…“大雨の脅威”体験「身の危険感じる」 危険性考え“事前の避難”を

20年前の7.13水害。当時、新潟県内を襲ったのはどのような雨だったのか…大雨の危険性を体験してきました。そこから見えてきたのは、事前の避難の重要性です。

茨城県にある防災科学技術研究所。この日は晴れていましたが、施設内で降っていたのは大雨です。

【防災科学技術研究所 酒井直樹 副部門長】
「天井に雨を降らせるシステムがついていて、ノズルが4つ組み合わさっている。それで雨滴の大きさまでを制御して降らせる」

天井についていたのは約2000個のノズル!こちらの施設では、様々な強さの雨を再現することで土砂崩れなどの研究や車のセンサーなどに対する影響を実験しています。

【防災科学技術研究所 酒井直樹 副部門長】
「雨の降り方が日本において変わってきたのではないかなというふうに思う」

こちらで研究を重ねる酒井直樹さんが、20年前に経験したのが7.13水害です。酒井さんは当時、魚沼市に住んでいて防災に関わる民間企業に勤めていました。

【防災科学技術研究所 酒井直樹 副部門長】
「防災の研究をやるにあたって、一番はじめに調査に行ったのが7月13日の災害。三条市、五十嵐側の堤防の決壊などを調査しに行った。短時間に強い雨が降るというのは、ちょうどその20年前あたりから少しずつあったが、最近は特にそういうのがあちこちで起きるようになった。線状降水帯という名前もできて、予報も出てくるようになってきた」

7.13水害では、現在の長岡市で1時間あたり最大63ミリの雨を観測。一体、どのような雨だったのでしょうか。

【記者リポート】
「こちらの施設、路面はアスファルトに覆われています。こちらにこれから災害級の大雨を擬似的に降らせて、私の周りがどのようになるか実験します」

1時間あたり60ミリの雨を降らせると…

【記者リポート】
「雨の音で少し周りの音が聞こえにくくなってきました。雨のせいでしょうか、少し肌寒くも感じてきました」

近くに排水溝のない場所は降りはじめから数分で水浸しの状態となりました。

【防災科学技術研究所 酒井直樹 副部門長】
「雨としては非常に強くて、通常は1時間に30ミリで大雨洪水警報。昔は街の排水機能がそれくらいでよかったねと、今はもう少し上げてはいるが。なので当時の雨としてはすごく強い雨が降っていることになる」

一方、この施設で再現できる最大量は10分間に50ミリ、1時間に直すと300ミリという猛烈な雨です。実はこの数値も…

【防災科学技術研究所 酒井直樹 副部門長】
「この雨は2011年の7月。7月23日、阿賀野川沿いにある室谷というところで記録されている雨があって、それが10分間に50ミリ。当時、最大で降っている。そこでは特に災害が起きたわけではないが、防災上備えるのに、やっぱり想定外というのはなくそうと」

モデルとなったのは新潟で過去に発生し、現在も観測史上2位として記録の残る雨です。10分間で50ミリ、1時間あたりで300ミリの雨。その威力とは…

【記者リポート】
「周りの音は雨の音でほとんど何も聞こえません。向こうの外まで50mほどあるのですが、すでに向こう側・外の様子はほとんど見えないような状況です」

一気に水がたまり、わずかな時間で路面も見えなくなりました。

【記者リポート】
「この視界も悪い中で、子どもやお年寄りが逃げるのはなかなか難しいのではないかと思います。非常に身の危険を感じる雨です」

【防災科学技術研究所 酒井直樹 副部門長】
「一気に押し寄せてくるので、“次どうしよう”と“どうやったらいいんだろう”とパニックになるような条件が再現できていたと思う」

7.13水害では高齢者が逃げ遅れるケースが多く、県内の犠牲者15人のうち12人が70歳以上でした。

酒井さんは自分の住む地域の危険性を普段から考え、とにかく事前の避難を心がけることが重要だと話します。

【防災科学技術研究所 酒井直樹 副部門長】
「普段から、堤防の近くに住んでいるから早めに逃げなきゃいけないなとか、おじいちゃん・おばあちゃんと住んでいるから避難に時間かかるなとか、そういった自分が住んでいる状況をちゃんと把握した上で、雨が降ってきたときにどうするかというのをみんなで話し合っていくことが必要。避難して“何も起きなくてよかったね”というのが重要で、“なんで起きなかったんだよ”という気持ちにならないことが非常に重要だと思う」

局地的な大雨では、気付いたときにはすでに周囲が危険な状態ということもあります。

その場合は無理に外へ避難せず、家の中で高いところに移動する垂直避難や斜面から離れた部屋に移動するなどして身の安全を確保することが大切です。

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