「ホンダジェット」を活用した新たな「シェアサービス」の概要が公開されています。これはどういったもので、富裕層しか乗れない交通手段であったビジネスジェットの概念は変わるのでしょうか。
自動車メーカー大手のホンダは2024年6月18日、子会社のホンダ・エアクラフト・カンパニーが開発したビジネスジェット機「ホンダジェット」を活用した新たな「シェアサービス」を発表しました。これにより、いわゆる「上級国民」とも呼ばれる富裕層しか乗れない交通手段であったビジネスジェットの概念が変わるかもしれません。
「ホンダジェット」庶民でも乗れるんですか!? 大成功からの“…の画像はこちら >> このサービスで使用される「ホンダジェット」(画像:ホンダ)。
ホンダジェットを活用した新しい「シェアサービス」では、地上の交通機関とホンダジェットを組み合わせて、日本国内で地上の交通機関では移動が難しい区間を便利で快適に結ぶとともに、ビジネスの生産性向上を目指すといいます。
ホンダの公式サイトに報道資料として掲載された概念実証の実例を紹介する動画では、車いすの利用者が、旅客機と異なりほかの乗客へ気兼ねすることなく旅先を訪れる様子が紹介されています。
そして、この動画で語られているのは、「空に近道を」と同時に、世界中で広く乗られているホンダの代表的車種と同じように、「ホンダジェットを空の『シビック』にしたい」という思いです。
ホンダジェットについては、開発者の藤野道格氏に2024年5月、米国航空宇宙学会から最も名誉ある賞の一つである「ダニエル・グッゲンハイム・メダル」が、日本人として初めて贈られています。
ホンダジェットは主翼上にエンジンを配置した独特のスタイルと、日本の自動車メーカーがつくりあげたことも合わせて、今でも開発ストーリーは注目を集めています。販売実績も北米を中心に世界で250機以上が売れています。
販売数をさらに伸ばすには、これまでの企業経営者や富裕層にとどまらない、新たな活用先を開拓する時期に来たと言えるのでしょう。これはいわば、ホンダジェットにとって新次元の挑戦になるとともに、国内交通の多様化にもつながる可能性があります。それを実現させるのが「シェアサービス」と見られています。
「ホンダジェットシェアサービス」はまず法人向けですが、その法人が一般向けに商品として企画する国内旅行は、移動だけではなく美術館の貸し切りや酒蔵訪問などもスケジュールに組み込まれているということです。
報道によると、お値段は1泊2日から2泊3日で150万円程度。料金設定についてホンダは「法人のお客様の設定のため、コメントすることはできない」としつつも、「これまでのビジネスジェットを購入するより確実に安く利用ができる。多くのお客様に利用の機会を届けることができる」としています。
今回のホンダジェットの新サービスに限らずビジネスジェット全般に言えるのは、既に効用は知られ、国も利用の促進に取り組んでいるものの、日本は欧米に比べて利用が広まっていると言えません。
それだけに、ホンダジェットの新たなサービスで便利さが認知されれば、ビジネスジェット機全体の利用促進へ追い風になるのかもしれません。