[社説]米兵事件に広がる抗議 基地あるが故いつまで

米軍嘉手納基地所属の兵長による少女誘拐暴行事件に対し、県民の怒りと抗議の動きが広がっている。
「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」や「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」など県内6団体の代表らは27日、県庁で会見し、日米両政府や米軍に抗議するとともに、被害者に対する謝罪や心のケアを求めた。
出席者は「少女の恐怖と絶望を思うと心がえぐられる」と語り、日米両政府を「県民の命と暮らしが脅かされている現状を放置している」と非難した。さらに県内全ての米軍基地を撤去し、新たな基地を造らせないことに言及した。
市町村議会では、抗議決議の動きも広がっている。
浦添市議会は26日、「蛮行に激しい怒りと憤りを覚える」として、再発防止策や日米地位協定の抜本的見直しを求める抗議決議を採択した。
27日には那覇や中城、北中城の議会が続いたほか、県議会でも与党を中心に決議の動きが出ている。
名護市では、市民らが「少女の尊厳を踏みにじるな」「米軍よ沖縄から去れ」などと書かれたプラカードを手に持ち抗議のスタンディング。参加した女性は「全国に沖縄の状況を知ってほしい」と訴えた。
米兵による性暴力が後を絶たず、女性や子どもたちの安全や人権が脅かされるという沖縄の現状は、異常というほかない。
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県民の憤りは当然だ。
沖縄戦で米軍が上陸してからこれまで、約80年にもわたり米軍による性暴力は続いている。
「行動する女たちの会」が1996年からまとめている米兵による女性への性犯罪記録年表には、45年の沖縄戦時から2021年にかけて、沖縄の女性約950人が受けた暴力の数々が連綿とつづられている。
だがそれとて表に出てきた数であり、氷山の一角でしかない。
日米両政府は事件事故が起きるたびに「綱紀粛正」と「再発防止」を誓ってきた。しかし犯罪はなくならない。
軍隊とは力による鎮圧や支配を前提とした組織だ。日々の訓練だけでなく、紛争地で凄絶(せいぜつ)な暴力に直面すれば緊張は増し心身は疲弊する。
米軍関係者は地位協定によって、さまざまな面で保護され優遇されている。そのことが占領者意識へとつながり、再発防止を妨げているとも指摘されている。
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事件を受け、池田竹州副知事は嘉手納基地第18航空団のニコラス・エバンス司令官、マシュー・ドルボ在沖米総領事に抗議し、再発防止と被害者への謝罪や補償などを求めた。司令官は「心配をかけていることは遺憾」と述べたものの謝罪の言葉はなかった。
米軍は昨年12月の事件発生後、何か対策を講じたのか。3月の米兵起訴後、県に連絡がなかったのも納得いかない。
市民団体が米軍基地の撤去を求めたのは、基地あるが故に繰り返される犯罪だからだ。沖縄の過重な基地負担と不平等な地位協定がその元凶である。

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