物価高騰対策として実施されていた電気料金、ガス料金への補助金が5月使用分でいったん終了となりました。また、電力大手10社とガス大手4社は、電気代、ガス代の7月請求分は、各社とも6月と比較して軒並み値上がりします。さらに2024年4月からは、容量拠出金制度の負担が始まり、電気代に上乗せされたり、容量拠出金反映額として別途請求されているところもあります。
今年の夏は、例年以上に厳しい暑さが予想されており、電気代の負担が家計に大きく影響を与える可能性があります。とは言え、熱中症ギリギリまで耐えるといった不健康な節電術はかえってムダな出費になりかねません。健康も節約のうちですので、上手に電気を使いながら節約のコツを抑えていきましょう。
エアコンを上手に使うコツ
夏場の電力消費割合はエアコンが34.2%とダントツですが、上手に付き合うことで節電効果が高められます。
エアコンの冷房運転の設定温度の目安は、室温が28℃になるように調整しましょう。少し暑いと感じたら、扇風機を併用しましょう。エアコンで冷やされた冷気は床など下に溜りやすいため、扇風機で冷気を撹拌することで、涼しさを感じやすくなります。身体に風を当てるとより涼しさを感じることができます。
その際、扇風機は値段が少し高いですが、DC(直流)モーターを搭載した省エネタイプの扇風機がおすすめです。少ないエネルギーで快適な風を作ってくれるので、買い換えを検討している方は金額だけではなく、DCモーターの表記をチェックしましょう。
いくら冷房を付けても、扇風機を回してもなかなか部屋が冷えないときは、エアコンの風量が弱になっていないかをチェックしましょう。弱になっていたら、自動に切り替えましょう。他にも、窓から熱が入ってきている可能性がありますので、遮光性能の高いカーテンでブロックしましょう。できる人は、窓にゴーヤを植えて緑のカーテンを作れば、節電とゴーヤが収穫できて一石二鳥です。
使用15年を超えた古いエアコンなら、買い換えも検討しましょう。省エネ製品買換ナビゲーション「しんきゅうさん」では、現在使用しているエアコンから新しい機種に買い換えた場合の節電効果をシミュレーションしてくれます。また、「東京ゼロエミポイント」のように環境性能が高いエアコンや冷蔵庫などを買い換えた場合、商品券に交換できるポイントをもらえるなど補助金制度が、お住まいの自治体でやっていないかチェックをしてみてはいかがでしょうか。
おでかけの時のコツ
照明やテレビは使っていなければ、こまめに消すのが正解ですが、エアコンをこまめにスイッチのオンとオフと繰り返すと起動時により多くの電力を消費するため、1~2時間ほどの外出なら、設定温度が28℃になっていたら30℃に上げて、厚手のカーテンを閉めてから照明も消して外出することをおすすめします。細かいですが、ドアなども閉めて冷やす空間をできるだけ少なくするのもコツです。
クールビズとクールシェアも忘れずに
通気性のよい服や、涼感タイプの衣類を着用することで、より涼しさを感じることができるでしょう。また、家族が各々の部屋でエアコンや照明などを使うと、電気代がかさむ原因になりますので、可能な限り一つの部屋で家族がエアコンを使えるように、クールシェアをしましょう。
外から帰ってきたらやるべきこと
エアコンが切られた状態の部屋に帰宅すると、すぐにでもエアコンを付けたくなりますが、部屋に溜った熱気を外へ出してからエアコンを付けた方が結果的には省エネになります。熱気の逃がし方は、窓を開けたのちに、換気扇を回して、サーキュレーター、扇風機で外に熱気を逃がすようにしましょう。
家族が外から帰ってきたときに設定温度を下げがちですが、帰宅後は冷やしタオルで汗を拭いたりシャワーを浴びてからリビングへ行くなど、設定温度をなるべく下げない仕組みを作りましょう。
保温はできるだけカットも忘れずに
暖房便座はオフにして、100円ショップで売られている貼る便座シートでひんやり感をやわらげましょう。ウォーターサーバーは便利ですが、温水が止められる設定があれば止めると節電になります。調乳といった特別な事情がないのであれば、その都度必要量分のお湯を沸かすことができる電気ケトルの利用がおすすめです。また、炊飯器や電気ポットなどの保温機能も意外と電力がかかります。そのため、ご飯はまとめて炊いたら、冷めないうちにすぐに小分けしたら粗熱を取って、冷凍保存しましょう。その都度食べる分を電子レンジで温め直す方が節電にも効果的です。
冷蔵庫の節電にもなる水筒
夏は冷たい飲料が美味しいですが、コップで飲んでいると結露でテーブル水浸しになりがちです。外出時に水筒を持ち歩くと、飲料代の節約になりますが、家の中で持ち歩くといつまでも飲み物が冷たく、コップ結露問題もなく、冷蔵庫の開閉回数も減るため、我が家では在宅時でも水筒を1人1本持つのが定番になっています。
照明はLEDに交換がおすすめ
照明も全体の9.6%です。クールシェアで、照明を共有することはもちろんのこと、節電効果が高いLED電球やシーリングライトに買い換えると、より節電効果が期待できます。また、早寝早起きをすることで、照明を使う時間が短くなり、朝の時間を有効に使うことができるので、節電だけではなく弁当作りもできたら食費の節約にもなりますね。
一番は健康的な夏を過ごすことです。節電の意識を高めつつ、適度にエアコンを使い、熱中症や夏バテにならないように体調に気を付けながら過ごしましょう。そして冷房期間が終わるまで、電気代の増額分を捻出するために、他の費目の見直しもしておきたいところですね。
丸山晴美 外国語の専門学校を卒業後、旅行会社、フリーター、会社員、コンビニ店長へと転職。22歳で節約に目覚め、年収が350万円に満たないころ、1年で200万円を貯める。26歳でマンションを購入。2001年に節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー、消費生活アドバイザーの資格を取得し、お金の管理、運用のアドバイスなどを手掛け、TV、雑誌などで幅広く活躍している この著者の記事一覧はこちら