「自分自身の属性や知見を総動員して政治再建を成し遂げたい」“バズり市長”が与野党対決の構図に割って入る

東京都知事選(20日告示、7月7日投開票)への出馬を表明した広島県安芸高田市の石丸伸二前市長(41)が17日、都庁で政策発表会を行った。石丸氏は市長時代に地元新聞社や市議会とのバトル動画が拡散され、SNS上で全国的な人気を獲得。小池百合子都知事(71)と蓮舫参院議員(56)との事実上の与野党対決に割って入る第3極として「政党には属さない自分の属性を総動員して、政治再建を成し遂げたい」と抱負を述べた。
「東京都知事選に立候補させていただきました、石丸伸二です」。午後4時30分に始まった会見で石丸氏は「前半30分は、私のことを話させていただきます」と切り出した。政治再建、都市開発、産業創出の3つの柱をよどみなくアピール。説明を終え、1人目の質問者が手を挙げたのは、“公約”通り午後5時ちょうどだった。
小池氏の都政については「うーん、言葉を選びますね…」と苦笑い。「小池さんらしい政治のための政治というのか。何ファーストだったのだろうという思いがある」とし「批判を恐れるスタンス。そういう政治には用はない」。言葉を選んだ割には、ぶった切った。
さらに「私は既存の政治から距離を取り、政党には属さない」と無所属・政党推薦なしの出馬というスタンスを強調。「そういう自分自身の属性や知見を総動員して政治再建を成し遂げたい」と、事実上の与野党対決とされる小池氏VS蓮舫氏の構図にクギを刺し、自身が「第3極」として両者に食い込む意思を見せた。
石丸氏は、安芸高田市長時代にYouTubeの動画が拡散され「バズり市長」として全国的な人気を獲得した。この日の会見でも、フリップを出して政策説明を行った際には「マイクが重なるので…」と位置を直すなど、テレビを意識する場面も。自身の公式チャンネルは、登録者数が13万人。選挙ボランティアも、全国から2000人が集まっているという。
すでに都内の選挙事務所内にはスタジオを設置。関係者によると、選挙期間中も配信を続けていく予定という。選挙資金は全国の個人献金を募っており、ネット献金を中心に「かなりの額が瞬く間に集まった」(陣営関係者)。ネット戦略にもたけた石丸氏は、「東京を動かそう」をキャッチフレーズに小池氏、蓮舫氏らとは全く違うやり方で、旧来の選挙に一石を投じるつもりだ。(樋口 智城)
「居眠り」市議批判 中国新聞とバトル
石丸氏は2020年、河井克行前衆院議員の公職選挙法違反事件に関連して安芸高田市長が辞職したことに伴い、同市長選に出馬して当選。市長を今月9日まで1期4年務めた。
任期中の22年には、記者会見で中国新聞記者とバトル。さらに、同市の市議を「居眠りする。説明責任を果たさない」などと批判し、議員半減案を提案。改正案は市議会で否決されたが、対立が激化した。
これらの様子が動画サイトを中心に取り上げられて注目され、会見や市議会での質疑を配信する同市の公式YouTubeチャンネルは登録者数が25万人を突破。同市によると自治体として最多という。石丸氏は後の対談などで、中国新聞や市議とのバトルのなかには、メディアを意識したものもあったと発言している。
◆石丸 伸二(いしまる・しんじ)1982年8月12日、広島県安芸高田市生まれ。41歳。京都大学経済学部卒業後の2006年に三菱東京UFJ銀行に入行。為替アナリストとして4年半ニューヨークに駐在した後の20年に退職。同年に安芸高田市長選に出馬し、当選。1期4年務め、24年6月に辞任した。趣味はトライアスロンなど。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする