孤食を防いで交流を!広がるシニア食堂

自宅で亡くなる一人暮らしの高齢者、「高齢者の孤独死」が今年、推計でおよそ6万8000人にのぼる可能性があるというニュース、番組でも取り上げましたが、高齢者の孤独や、一人で食事をとる「孤食」を減らす取り組み・「シニア食堂」が都内でも広がり始めています。
その一つ、荒川区で開かれているシニア食堂「つなぐ荒川食堂」を取材しました。「つなぐ荒川食堂」はどんな場所なのか、食堂を開いているボランティア団体「よりそい」の代表・福田一三さんに伺いました。
ボランティア団体「よりそい」代表 福田一三さん
「つなぐ荒川食堂」は高齢者の一人暮らしの人をなるべく1人にさせないように、知らない人でもここに来てお話できるような場所を提供したいという趣旨から始まって、毎週月曜日11時半から12時半まで開けています。カレーをメインに副菜を2品ほどと、コーヒーを出して、値段は400円です。1人で来る方が顔馴染みになって、挨拶するようになって、そういう意味では繋がったのかな。荒川区も高齢者が多いし、一人暮らしの方もかなりいるので、活動の意義はあるのかなと思いますし「美味しかった」「楽しかった」と言って帰ってくださる方がいると、やって良かったのかなと思います。
(ある日のメニュー)
去年7月から毎週月曜日に開かれていて、第5月曜日と、祝日はお休み。弁当配達サービスを行う会社の休憩室だった部屋、一部屋を間借りしています。予約なしで、高齢者をはじめ、誰でも利用でき、「限定20食」なんですが、毎回ほぼ売り切れるほど人気だということです。
6月10日(月)の「つなぐ荒川食堂」に参加していた高齢者に話を聞きました。
●「83歳。10回くらいかな。いまプール行った帰りなの。家で1人でポツンとしているよりいいじゃない。何しろ一人暮らしじゃない?ここへ来てみんなとお話できるから嬉しいじゃない。」
●「77になりました。子どもがいないので、会食、今までこういうチャンスがなかったので感謝。1回来ると、やみつきになって毎回、雨でも来ます。1週間に1回会う方もいらっしゃるじゃないですか。あとスタッフの方が、本当に真心こもっています。」
この日は70代~最高齢99歳の方が参加して、わいわい食事をしていました。普段一人暮らし、という方も多くいらっしゃっていて、参加することが日々の楽しみになっているそう。
一食400円ということで、私もお支払いして、一緒にいただいたんですが、取材日のメニューは、ミートボールカレーにトマト、ひじき、お味噌汁、サラダ。優しい味で美味しかったです。辛口や硬いものを避けるなど気をつけていて、クリスマスにはケーキを出すなど、季節に合わせて工夫もしているということでした。
「つなぐ荒川食堂」は、介護や福祉、健康、医療などの面から高齢者を支援する荒川地域包括支援センターが介護予防事業として主導しています。センターの橋本千昌さんのお話です。
荒川地域包括支援センター 橋本千昌さん
気になる高齢者の方もいて、荒川区でやっている事業の「物忘れ相談」「専門相談」、そういうところにお繋げしたり、今日来ていた方の中でも、精神疾患をお持ちの方や認知症の方、いろんな方がいらっしゃるので、地域のこういう活躍できる場所で交流してもらって「また来てね」「また来るね」の会話を大切にしています。壁にポリスさんが持ってきてくれるものを貼ったり、この間はトイレットペーパーに詐欺の周知活動みたいなのがあって、みなさん喜んで持って帰ってくれています。お巡りさんがここに来ているということで、みなさん喜んでくださったり、安心できる場所にはなっているようです。振り込め詐欺の話とかよく出ていますね。「この間こういう電話かかってきたけど、どうしよう」とか、喋っています。
私が取材にお邪魔した日も、地域の警察官の方がお昼休みに来て、一緒に食事をとって交流していました。東京都では、昨年度から「TOKYO長寿ふれあい食堂推進事業」を始めて、シニア食堂の経費の一部を補助しています。今年度は、食堂の運営費・上限28万円、立ち上げ費用として上限50万円、東京都が支給するということです。
昨年度は、荒川区、目黒区や文京区、豊島区、奥多摩町の5つの自治体から13の食堂について、申請があったということで、都の担当者は「ぜひもっと活用してほしい」と話していました。

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