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車体には大きくルノーのマーク、ボディカラーはオシャレな黄色、クルマの形は商用車っぽい……。これってひょっとして、日本でも大人気の「カングー」の祖先なのでは? さて、このクルマはなんでしょう!
カングーってどんなクルマ?
カングーといえば日本にも熱狂的なファンの多いルノーのMPV(マルチ・パーパス・ビークル)です。商用車っぽさを感じる道具感やかわいい顔つき(現行型は少しキリっとした表情になりましたが)、観音開きのダブルバックドアなどがトレードマークです。
こうして見比べるとカングーと似ている気がするのですが、最初に登場したクルマの正体は? モビリティジャーナリストの森口将之さんに聞いてみました! 次のページで教えていただきます。
――正解は次のページで!
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○問題をおさらい!
正解はこちら!
○【答え】ルノー「4 フルゴネット」
ルノー「4」(キャトル)は1961年、このブランド初の前輪駆動車として生まれました。
それまでルノーのベーシックカーとして親しまれてきたリアエンジンの「4CV」に代わる車種であり、1948年にデビューしていたシトロエンの前輪駆動ベーシックカー「2CV」のライバルという意味も持っていました。
前輪駆動であることをいかし、リアにハッチゲートを用意していたことが画期的で、世界初のハッチバックと言われています。
フルゴネットはハッチバックの翌年にデビューしました。フロントドアまではハッチバックと共通で、リアに大きな箱を合体させたような成り立ちです。リアゲートは横開きで、ルーフの後端が上に開いて、背の高い荷物も出し入れできるようになっていました。
フルゴネットは商用車という意味の「フルゴン」(fourgon)に、小さいことを示す接尾語「ette」を追加した言葉で、ひと足先に登場していたシトロエン2CVにもあった同様のボディで使われ始めた呼び名のようです。
当初は2人乗りの商用車仕様だけでしたが、途中で同じボディを使った4人乗り乗用車仕様のブレークが加わったほか、ホイールベースを20cm伸ばして積載量を増やしたボディも登場。こちらには屋根のないピックアップも用意されました。
水冷直列4気筒のエンジンは、当初は4CVと同じ750ccでしたが、その後は850cc、780ccに置き換えられ、ロングボディには1,100ccも搭載されました。
現在、日本でも販売されている「カングー」は、2CVやこのクルマが確立したフルゴネットのジャンルを継承するモデルです。
カングーは日本には乗用車仕様が輸入されていますが、フランスには商用車仕様もあり、ルノーのオフィシャルサイトではフルゴネットと呼ばれています。ちなみに、カングーより格上の商用車はフルゴンと紹介されています。
フルゴネットは昔も今もフランスの生活に欠かせない、カフェオレやクロワッサンのような存在なのかもしれません。
以上、森口将之さんの解説でした。それでは、次回をお楽しみに!
森口将之 1962年東京都出身。早稲田大学教育学部を卒業後、出版社編集部を経て、1993年にフリーランス・ジャーナリストとして独立。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。グッドデザイン賞審査委員を務める。著書に『これから始まる自動運転 社会はどうなる!?』『MaaS入門 まちづくりのためのスマートモビリティ戦略』など。 この著者の記事一覧はこちら