米アップルは10日(日本時間11日)、iPhone(アイフォーン)などに独自の生成人工知能(AI)「アップルインテリジェンス」を搭載すると発表した。米オープンAIの対話型AI「チャットGPT」とも連携する。
【ITジャーナリスト三上洋氏 解説】
現状、スマートフォンに搭載するAIはそんなに難しいことをさせるレベルのものではないため、今回、一番変化があるのは「Siri(シリ)」の性能だと思う。これまではシリの音声認識能力があまり高くなく、誤認識が多かったが、AIを使用することにより、粗い指示でも「こういったことですか?」と、ある程度予測した返答になるだろう。今まで指を動かし、タップをして入力していたものが、声を使ってストレスなく入力できるようになる。
また、画像や動画の加工が便利になるだろう。電線や人を簡単な操作で消し、奇麗な背景と合成してくれるような性能も向上されるだろうし、かなりプロが撮影したものに近くなると予測する。
生成AIを実装した端末を使って、手軽に精度の高いなりすまし動画を作れるようになるといった危うさはあるものの、これはスマホに限ったことではなく、生成AIを使用するもの全般に言えること。
アップル社は基本的に他社と比べて個人情報については厳しい対応をしている。生成AI導入が遅れたのも、自社開発のAIを使用したかったというのが一番の要因。中途半端な出来のものを実装せずに完成をしっかり待ってから実装したため時期が遅れたとみられる。プライバシー保護の部分も、アップル社の高い基準に合わせた対策がなされているはずだ。
生成AIがさらに進化していけば、メールの送受信についてもAIに「返事送っといて」のひとことで、メール文章を自動で生成するような、かゆい所に手が届く秘書のような存在になっていくと思う。