佐倉市のユーカリが丘地区の開発を手がける不動産会社「山万」は、新交通システム「山万ユーカリが丘線」とコミュニティバスに15日から、日本で初めて顔認証乗車システムを導入すると発表した。事前に専用サイトで顔とクレジットカードを登録することで、切符やICカードを使わずに顔認証で改札通過が可能に。切符を買う手間が省ける上、荷物で両手がふさがっていても改札が通れるなど利便性向上が期待される。
同社によると、これまでユーカリが丘線は券売機で切符を買うか、定期券での乗車のみでICカードは使えなかった。同社は利用者の利便性向上を図るため2021年から顔認証乗車システムの実証実験に着手。ソフトウェア開発などを行う「パナソニックコネクト」(東京都)が提供する顔認証技術と、公共交通機関検索サービスなどを手がける「ジョルダン」(同)のチケット管理システムを用い、乗車管理を可能にした。
同システムは、事前に専用サイトで顔写真や決済用のクレジットカードを登録の上、改札に設置されたタブレット端末に顔を読み込ませると入場でき、降車時も顔を読み込ませて改札を出る。1カ月ごとに利用回数が合算され、料金がクレジットカードから引き落とされる。ユーカリが丘地区で走る山万コミュニティバスでも同様に顔認証で乗車できる。
実証実験で実際に利用者に使ってもらった際には「荷物が多い時に助かる」「子どもの手を離さずに乗車でき便利」「券を購入する手間がない」など好意的な意見が寄せられたという。
15日の本格導入以降は、従来の切符と定期券の販売は終了する。顔写真の登録を行わずに利用したい人や、クレジットカードを持たない人向けには、新たにQRコードが印刷された紙の切符を券売機で発券。QRコードを改札の読み取り機にかざすと乗車できる。既に購入済みの回数券や定期券は当面使用できるという。
将来的には、ユーカリが丘地区の店舗における顔認証決済なども検討していきたい考えで、同社の担当者は「今後は横展開していき、訪れた方にとって便利な仕組みをつくっていければ」と話している。