台所には、さまざまな火災の危険が潜んでいます。中でも多いのが「天ぷら油」の過熱による火災。名古屋市内では、天ぷら油の火災が2023年の1年間で27件発生しています。過熱した油を放置してしまうことで、発火したケースが一番多いとのこと。天ぷら油を使用する際の注意点、発火した際の消火方法を専門家とともに検証しました。
天ぷら油に火がついたらどうする? 濡れタオルで消えるとは限ら…の画像はこちら >>
2024年4月4日、愛知県東海市の寺が火事で全焼しました。原因は・・・天ぷら油。天ぷらを作っていた時に、油が過熱して発火。炎はあっという間に燃え広がりました。
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名古屋市消防局の再現実験で、天ぷら油が発火する過程を検証しました。
直径26センチの鍋の中に天ぷら油約300CCを入れ、コンロに着火。その温度を計測します。
温度は2分で200度まで上昇。3分経過すると、油の表面に変化が起こります。300度までいくと、煙が出てきました。
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そして、油の温度が約380度を超えると発火。中火で7分加熱すると、天ぷら油の発火点に達し、炎が立ち上がりました。
(名古屋市消防局 予防部予防課 細原涼司消防士長)「少しの時間でも離れてしまうと、油の温度が上がり、天ぷら油が発火する。調理中は目を離さないようにお願いします」
「着火した油に水は厳禁」ということは、よく知られています。東京消防庁の検証では、水をかけると、火柱は天井まで達し、キッチンのカーテンにも燃え広がりました。
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直径わずか5センチの実験用の鍋で試しても、火がついたところにほんの少量の水を入れると、大きな炎が上がりました。水が一気に「水蒸気爆発」を起こし、火がついた油を周りにまき散らします。鍋の横に置いたマネキンの顔にも、火は燃え移りました。
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では、この火をどう消せばいいのでしょうか。
天ぷら油についた火を消す場合は、「濡れタオル」をかぶせる方法が効果的といわれています。自治体のホームページなどでもすすめられていますが、検証してみると、実は注意すべき点も。
濡れタオルで炎を覆うと、わずか5秒で火が見えなくなりました。
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ところが、すぐにタオルを外してしまうと、温度が下がりきりません。タオルを外した瞬間に空気が入り込み、爆発的に燃焼が起きました。油の温度が下がるまでは、濡れタオルをかけたまま、ある程度置いておく必要があります。
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マヨネーズを容器ごと入れる方法も効果的だといわれてます。この方法も検証してみると…
マヨネーズを投入した直後、炎は一段と大きく立ち上がりました。炎は1分半後にようやく鎮火。むしろ「火に油を注いだ形」といえます。
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(名古屋市消防局 予防部予防課 細原涼司消防士長)「(確実な消火方法は)消火器、エアゾール式消火具を常備すること。スプレータイプのもので、簡単に消火することができる。一家に1本、常備するようお願いします」
揚げ物の油はねを嫌って鍋にふたをするのも、実は危険な行為です。
鍋にふたをして、発火温度の380度に油を加熱してみました。
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しかし、380度を超えても、まだ発火しません。発火しない理由は、ふたで空気が遮断されているから。ふたを開けた瞬間、遮断していた空気が中に一気に流れ込み、激しく燃え上がりました。揚げ物調理では、ふたは使わないことが鉄則です。
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(名古屋市消防局 予防部予防課 細原涼司消防士長)「新生活に慣れてきて、調理中も余裕が出てきて、その場を離れることがあるかもしれないが、調理中はその場を離れないでください」
手軽に使える「電子レンジ」にも危険が。電子レンジの事故は、過去5年で154件発生し、重傷者も出ています。
事故の原因を検証します。よく知られるのが「生卵の破裂」。
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殻の中の水分が沸騰しても、水蒸気の逃げ場がないため、圧力が高まっていきます。限界に達すると、卵は一気に破裂しました。
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食品だけではなく、レンジに入れる容器にも注意が必要です。耐熱ではないガラス容器を加熱すると、数分で割れてしまいました。また、アルミ製の皿を入れると…レンジは電磁波で加熱するので、金属であるアルミ製の皿を入れると、激しく火花を噴きました。耐熱ではないプラスチックの場合は、加熱すると溶けてしまいました。
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身近に潜む火災の危険。ほんの少しの油断が災害を招きます。くれぐれもご注意を。
CBCテレビ「チャント!」5月27日放送より