街中で見かける、救急車。
急病人や怪我人などを素早く病院へ送り届けるため、昼夜を問わず走り回っています。
そんな救急のシステムがあってこそ、人々の生活が守られているといっても、過言ではないでしょう。
2024年6月1日から、三重県松阪市内の3つの病院で、救急車を要請する際の制度が変わりました。
これらの病院では、救急車で運ばれても、入院を必要としない軽症患者に対して、7700円を徴収。
徴収されるのは、病院の紹介状がなく受診する場合の『選定療養費』に該当します。
また、学校で起きた熱中症や交通事故に関しては、徴収されないといいます。
松坂市はウェブサイトを通じて、救急車で運ばれた軽症患者に『選定療養費』を徴収するようになった理由を、このように挙げました。
松阪地区広域消防組合の救急出動件数は令和5年には過去最高の16,180件となり、救急体制、救急医療はひっ迫している状況です。このような状態が続くと、「助かるはずの命が助からない」事態が発生することが考えられます。
まずはかかりつけ医、地域の医院・診療所等を受診し、医療機関の機能・役割に応じた適切な受診が実現するよう、救急医療体制のあり方を検討しました。
三重県松坂市 ーより引用
同市では令和5年に入り、救急車の出動が1万6千件を超える、過去最高値を記録しています。
本当に救急医療が必要な重症患者のために、救急車を出動させないと「助かる命が助けられない」現状です。
しかし中には、「ハチが家の中に入って来たから助けてほしい」や「エアコンが故障したから涼しい所へ連れて行ってくれ」など、救急車をむやみやたらな気持ちで、要請してしまう事案も全国で発生しているとのこと。
同市の取り組みについて、ネット上では、以下のような好意的なコメントが上がっています。
・救急車が本当に必要な人のためになるならば、賛成。
・病院に行くタクシー代わりに要請している人もいると聞きます。真に救急医療を必要としている人に行き届いてほしいです。
・大ケガをしていても、意識はあるし近隣住民の迷惑なるかもしれないと、救急車の要請を控えていました。松坂市の制度が全国的に広まれば、重傷者がためらうことなく要請できるきっかけになるのでは。
一方で、ネット上では批判的な意見も見受けられます。
・重症か軽症なのかを、患者が判断するのは難しい。
・お金さえ払えば、すぐに駆け付けてくれるという誤解が生まれそう。
・命の危険が及んで苦しんでいたとしても、毎日の生活がやっとの貧困層もいます。その人たちが救急車を要請することをためらってしまわないかが、心配です。
・入院が基準ではなくて、救急を要するか否かで徴収の判断するべきでは。入院せずとも、救急隊の応急処置が必要な人もいるでしょう。
救急車で運ばれ、入院しなかった人への『選定療養費』の徴収について、賛否が分かれています。
私たちにできるのは、自身の命や健康を守ることにほかなりません。
もしも救急車を呼ぶか迷った時には、#7119番で『救急安心センター事業』に電話をかけると、医師や看護師が相談に乗ってくれます。
2024年6月現在、『救急安心センター事業』の実施エリアは26地域。全国での普及を進めているとのことです。
緊急時は慌ててしまい、判断に困ってしまうもの。焦って救急車を直接呼ぶ前に、家族や友人に相談したり『救急安心センター事業』を活用したりするのもいいでしょう。
[文・構成/grape編集部]