1日数分で人生を大きく動かす「振り返りノート習慣」

寝る直前までYouTubeの動画を見て、朝起きた直後にLINEをチェックする。日中は、メールやチャットのやり取りに追われて、返事が終わらない……。こんな毎日を送っている人こそ、1日数分でも、自分のことを振り返る時間を持ってみませんか?

ミーニング・ノートの開発者 山田智恵さんの著書「最高の未来に変える 振り返りノート習慣」から、ノートを使った振り返りスキルを紹介します。

○■反省も目標も不要な「振り返り」7つのスキル

現代人が1日に受け取る情報量は、平安時代の一生分とも言われています。 私たちは、外の情報処理で疲れきってしまい、自分が何を考え、何を感じたのかを振り返る、内省時間は限りなくゼロになっています。

こんなことを言う人が最近増えています。

「私の人生、こんな感じで進んでいいんだっけ?」「すごく忙しい1年だったけれど、何をやったか思い出せない。 」

こんな日々が続くと、不安になるし、モヤモヤが増えて当然です。

1日数分でも、自分のことを振り返ることで、精神が安定し、自分の素直な心の声が聞けるようになり、自分の進みたい道へと進むことができるようになります。この振り返りのすごさを伝えたくて、今回「最高の未来に変える 振り返りノート習慣」を出版しました。

私が提唱する振り返りは、反省したり、目標との乖離を見つけ出したり、自分のダメなところと向き合うことはしません。

むしろ逆。反省も目標も、不要です。

自分の良いところを見つけ出し、自分の関心を自覚して、楽しい行動を増やしていく振り返りを提唱しています。

誰でも、効果が出る振り返りを実践できるように、7つのスキルにまとめました。

スキル1 切り分ける
スキル2 絞る
スキル3 意味づける
スキル4 つなげる
スキル5 抽象化する
スキル6 具体化する
スキル7 メガネをかけかえる

ノートに毎日簡単な記録をとり、この7つのスキルを使って振り返っていきます。記録するためのフォーマットがあるので、誰でも簡単に始められます。例えば、モヤモヤする嫌なことが起きた場合は、出来事と主観を切り分けるスキルを使って、違う捉え方ができないかを考え、やりたいことを実現したいならば、具体化スキルを使って、明日から即行動できるように落とし込みます。

振り返りスキルとは、自分自身と対話するスキルでもあります。

ノートを使って、振り返りを行っていくことで、自分のことを深く理解し、自分らしい選択ができるようになります。
○■キャリアチェンジや新規事業を始める人も

振り返り習慣を続けた方で、人生を大きく変化させた30代の会社員の女性の事例をご紹介しましょう。

彼女は、自信を失っていた時期にノートを使った振り返りの習慣を始めました。そうしたら、「もったいない」という言葉が何度も出てくることに気がつきました。

例えば…

「キャリアカウンセラーYさんに、こんなに色々できるのに謙虚すぎる、もったいないと言われる。」
「Hさんを見ていると、やりたいことをやるって大切だと気がついた。私はもったいなことをしているかもしれない。」
「自分の本棚を見ていると、できないこと潰しをしている本ばかりだと気がついた。もっと自分の良いところを見ないともったいない。」

こういったことが何度も書いてあるのを見て、「自分で思っているよりも、自分にはもっと良いところがあるかもしれない」と初めて素直に受け止めることができたそうです。

私の提唱する振り返りでは、1週間の記録をとったあとに書いたことを振り返ります。

この「書いて、少し時間が経ってから、振り返る」というのがミソなのです。少し時間を置くことで、書いた時よりも、冷静に、そして客観的に自分を見つめることができます。
この女性は、「もっと自分にできることがあるかもしれない」と思い、ノートの振り返りを続けて、自分のやりたいことを探し始めました。何度も出てきたのは、新興国の事業開発についてでした。

多くの方から、背中を押す言葉をもらっていることにも気がつきます。例えば、こんなことが書かれていました。

「HさんとCさんから『正解はない。いいことなのだからやれば良い』と言われた。」
「Mikiさんから、あなたのしたいことは社会から必要とされているから大丈夫と言ってもらう。」
「ビジネスモデルの発表をした。思った以上に反応は悪くない。」

ノートには、自分のやりたいことに対するポジティブなフィードバックの言葉が並んでいました。自分の想いの強さを確信した彼女は、ただの夢で終わらせず、行動をとることを決めたのです。会社を辞めて、新興国のビジネスをサポートする仕事に就くことを決意したのです。

自分の想いや願いは、頭の中だけで考えていると、それがどれくらい強いのか分かりにくいものです。「やりたいと言っても、一時の気の迷いかもしれないし、生半可な想いかもしれない…」というような迷いが出てしまいがちで、なかなか行動ができません。

ところが、ノートに書いたことを振り返り、何度も出てくる自分の想いの強さを確認できると、行動することへの許可が出しやすくなるのです。

自分がやりたいことを決意した彼女は、のびのびと軽やかで、そして、大きな笑顔を何度も見せていました。

彼女だけではありません。たくさんの方が、ノートの振り返り習慣を身につけることで、人生を変えていっています。

親からの期待通りに生きるのをやめて、自分がワクワクする技術の仕事に転職した人、振り返りによって自己肯定感が高くなって自分のことを好きになった人、小さい頃からの憧れだった食に関わる事業を始めた人もいます。
○■素の自分が求めているものを見つけて

実は、社会的な役割を立派に担っている人ほど、自分の素直な声が聞こえてなくなってしまうケースは多いのです。

例えば、「親だからきちんとすべき」「管理職だからメンバーよりも何でも知っていねばならない」「もう40代だから自分探しは諦めるべき」、こんな風にさまざまな「べき」「ねば」に頭と心を支配されてしまうと、素の自分が何を求めているのかが分からなくなってしまいます。

いつもは求められる役割を立派に果たしている方も、ノートの中だけは、誰の目も気にせず、自分のうちなる声(感情や思考)をさらけだしてみてください。それを振り返ることで、自分の進みたい道が見えてきます。

1日たった数分の振り返り習慣の効果は絶大です。ぜひ、振り返りを始めてみてください。

○山田智恵

株式会社ダイジョーブCEO。慶應義塾大学法学部・慶應義塾大学大学院(MBA)卒業。父親の経営する会社に入社するも、リーマンショックの煽りを受けて、民事再生を申請。創業者である父と家族全員が会社を去ることとなり、一家全員無職に。人生に絶望するも、ノートを使った振り返りを始めて人生が好転。転職した一部上場企業ではソーシャルメディア事業部部長として活躍し、外資系ベンチャー企業の役員を務める。2016年に株式会社ダイジョーブを起業。自身が実践していた内省手法を「ミーニング・ノート」というメソッドにまとめ、講演・ワークショップを実施している。著書に「ミーニング・ノート 1日3つチャンスを書くと進む道が見えてくる」(金風舎)などがある。

○『最高の未来に変える 振り返りノート習慣』(山田智恵 著/かんき出版 刊)

「ノートを使った振り返り」を5,000人以上に指導してきた著者が開発した「分かりやすく、楽しく、続けられる振り返り」方法を学べる本です。ノートを「書く」だけでなく「振り返る」ところが大事なポイント。ノートは、自分の内面を映す鏡となり、自分を深く理解し、自分の進みたい道を見つけることができるのです。現代は寝るまでYouTubeを見て、起きたらLINEをし、日中は仕事のメールをして、常に外の情報を処理することに多くのエネルギーを使っています。すると自分が何をしたいのか、何を考えたのか、分からなくなってしまいます。ノートに書き、振り返ることで、自分の心の声が聞こえ、自分らしい生き方が見えて、行動に移せるようになります。本書では7つの振り返りスキルと、3種類のフォーマットを使って、楽しく、分かりやすく、続けやすい振り返り習慣を学ぶことができます。

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