パリッコのおつまみ革命 第48回 娘の言い間違いから生まれた「めだまごやき」! 目玉焼きと玉子焼きが融合した“革命的タマゴ料理”はアレンジも無限大

ひとり娘がまだ3~4歳くらいまでのころ、日常的にさまざまなものの名前を「言い間違い」していました。その予測不能加減がおもしろくてかわいく、当時はスマホに娘の「言い間違いメモ」を作って、日々書きとめていました。そのなかのひとつに、「目玉焼き」の言い間違いの「めだまごやき」があります。

娘は幼いころから、とにかく玉子焼きが大好物でした。ところがある日、同じ玉子を焼いただけの目玉焼きという料理があることを知り、混乱したのでしょう。どうしても目玉焼きと言えず、しばらくの間ずっと、それをめだまごやきと呼んでいました。

しかし、よく考えてみると、玉子を溶いて焼いた料理が玉子焼きなのに、玉子をそのままフライパンで焼いた料理は、なぜ玉子焼きじゃないのか。むしろ、よりシンプルな玉子焼きなのに、なぜそっちは見た目から名前がつけられているのか。その言い間違い、意外と筋が通ってる気がする。と、ちょっと感心してしまったんです。

ところで僕は晩酌時、なにかもう1品軽いつまみが欲しいな、なんてときに、玉子2つくらいを使って、玉子焼き、もしくは目玉焼きを作ることがよくあります。どっちも大好きなんですよね。けれども、どちらを作るかはその日の気分による。……待てよ。なぜどちらも大好物なのに、日によってどちらかを作り分けていたんだろう。目玉焼きと玉子焼きが融合した「めだまごやき」を作ったってよかったじゃないか! と思ったわけです。

親が子に教えられることは多いものですが、まさかおつまみレシピのアイデアをもらえるとは。

そして試作してみためだまごやきがですね、なぜ今までこの料理がなかったんだ! っていう、まさに革命的料理だったんです。
○アレンジの可能性も無限大

いきなりうまくいってしまったその作りかたを、これからご紹介しましょう。まず、生玉子ひとつをよく溶きます。

そうしたらふたつめの生玉子をその器に入れ、こんどは黄身を崩さないて程度に、ふんわりと数回混ぜておきましょう。

そうしたらフライパンに多めの油を熱し、弱火にして玉子を投入。全体が固まり、周囲はかりっと、黄身は半熟になるくらいまでを目安に、お好みで火を通してゆきましょう。

はい、これで完成! 「めだまごやき」。

これがですね、見事なまでに、周囲が玉子焼き、中央が目玉焼きの、いいとこどり料理なんです。ゆえに、2つのパーツで別々の味つけをしてやっても、よりつまみ力が高まっていい。

まず、玉子焼き部分にマヨネーズ&コショウ。

そしてそして、目玉焼き部分は当然黄身を崩して、そこに醤油。

どちらもうまいに決まってますが、境界線部分もその融合感がまたたまらなくて、あぁ、生きてるうちにこの料理に出会えて良かった……。あ、せっかくなのでもう一度全体像を見てやってもらえますか。その、夢の共演の様子を。

当然、全体にマヨ&ソースをかけてお好み焼き風とか、玉子焼き部分にチーズや明太子などを加えたアレンジバージョンとか、オムライスや焼きそばに使ってみるとか、下にハムやベーコンを敷いてみるとか、考えられるアレンジの可能性も無限大。夏になったら、旬の青唐辛子入りなんかもいいだろうな~。
○【材料】

・玉子:2個
・サラダ油など:大さじ1程度
※分量は目安です。お好みで調整してください。
○【作りかた】

1.生玉子1個をよく混ぜる。
2.そこにもうひとつ生玉子を加え、気味が崩れないようにざっくり数回混ぜる。
3.フライパンに油を熱し、弱火にして玉子2個ぶんを加え、好みの加減になるまで焼く。
4.お好みの調味料をかける。

パリッコ ぱりっこ 1978年東京生まれ。酒場ライター、漫画家/イラストレーター、DJ/トラックメイカー、他。酒好きが高じ、2000年代後半より酒と酒場に関する記事の執筆を始める。著書に『酒場っ子』『つつまし酒』『天国酒場』など。 この著者の記事一覧はこちら

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする