「どうしてうちの子の施設が?」入居者の母は不安 障害者向けグループホーム「恵」どうなる? 運営引継ぎに手を挙げる企業も

障害者向けのグループホームを運営する「恵(めぐみ)」の問題です。数々の不正が明らかになり6月にも指定取り消しの処分が出る見通しですが、利用者たちはこの先、どうなるのでしょうか?こうした中「利用者を救いたい」と声をあげた愛知県の企業があります。
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これは、愛知県内のグループホームで、障害のある入居者に提供されたとみられる食事。問題の発端は、この食材費を実際の金額より「多く」入居者から集めていたことでした。(2月 愛知県 大村秀章知事)「ゆゆしき事態と言わざるを得ない。経済的虐待ではないかと。その通り」
恵本社が入るビル(東京・港区)
愛知県を中心に、全国で障害者向けグループホームを運営する「恵(めぐみ)」。2億円あまりに上る食材費の過大徴収に加え、サービス報酬の不正受給も明らかになり、愛知県と名古屋市は県内5つの事業所の指定を取り消し、事業を継続できなくする方針を決めました。組織的な不正への関与が認められれば、全国に約100か所ある恵のグループホームがすべて運営できなくなる見通しで、入居する障害者やその家族からは不安の声が上がっています。
CBC
(入居者の母親)「何もかも慣れている所から放り出されて、果たしてすぐ受け皿あるのかものすごく心配」こう話すのは、名古屋市内に住む60代の女性。重度の自閉症である40代の息子が、恵が運営するグループホームに入居しています。(入居者の母親)「うちの子は食にすごく興味があって、糖尿病なのにあるだけ食べてしまう。砂糖1キロ、業務用マヨネーズ1本飲んじゃうとか。親が管理しきれないということで、(入所を)お願いすることにした」
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前の施設と折り合いが悪く、数年前に恵のグループホームに移りましたが、職員たちが親身に対応してくれて、不満を感じたことはないと話します。(入居者の母親)「平々凡々と暮らしていたので、『え、どうしてうちの子が通っている施設が?』と思った。連帯責任でうちの施設もそうなって(閉鎖されて)しまうのかすごく不安」息子の障害の特性上、生活環境が急に変わってしまうことを心配しています。
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(入居者の母親)「自閉症の子はすごくストレスに弱く、環境の変化に弱い。職員ががらっと変わってしまうとメンタル的に(ダメージを)受けてしまう。そこで新たなパニックを生んだり。恵という会社だけが変わって、施設自体は変わらないのを一番希望している」恵のグループホームは愛知県内だけで27か所ありますが、利用者やその家族は新たな施設を探さざるを得ないのか…
不安が高まる中、恵が運営するグループホームをそのままの形で引き継ぎたいと名乗りを上げる企業も。(ビジョナリー 丹羽悠介社長)「利用者、スタッフ、(建物の)オーナー、利用者家族の力になりたいなと」「日本一マッチョが多い介護施設」という、一風変わったコンセプトで事業を拡大している「ビジョナリー」。愛知県を中心に、現在23の障害者向けグループホームなどを運営していますが、一宮市にあるこの施設、実は…(丹羽社長)「元々の看板が、こちら」看板には「恵」の文字が。(丹羽社長)「(恵が運営する)『ふわふわ』が出店予定で、建物も建てて準備されていたんですけど、オープンができていない場所がいくつかあるということで」
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恵の問題が明らかになる前の去年8月、入居者がいない恵の「空き施設」6か所を譲り受け運営することに。
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これがきっかけで、問題発覚後も恵の役員と連絡を取り合っていて、事業が継続できない場合は一部のグループホームの運営を引き継ぎたいと伝えているといいます。(丹羽社長)「もし(事業を)やれなくなると(恵が所有する)120か所ぐらいの施設をどうするのか、どう引き継ぐのかも考えていかなきゃいけないみたいな話は出てて。僕らもその120か所全部引き継ぐのは無理ですけど、何かできることがあるんだったら力になりたいなと思っていて、手を挙げているって感じなんですけど」一方、恵の広報担当者はCBCテレビの取材に対して、「処分が出ていないので今後については何も決まっていない」とコメントしています。(丹羽社長)「せっかく(利用者)ご家族も安心できると思ってお願いしたのに、こんな形になってしまったのを、僕らが名乗りをあげて何か力になれることで、ポジティブに変えることができたら」愛知県と名古屋市は、6月にも指定取り消しの行政処分を出す方針ですが、効力が発生するには数か月かかる見通しです。事業の引き継ぎや入居者をどうするかは、その数か月の間に恵が主体となって決めることになりますが、行政もサポートしていくということです。恵の事業の一部をビジョナリーが引き継ぐかはまだ分かりませんが、いずれにせよ利用者を第一に考えた対応を取ってほしいと思います。

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