「EVは“電欠”が怖いし…」 実はガス欠より対策ラクかも? 新ビジネスになりそうな“もしものサービス”とは?

EVが普及すると当然、電欠などの問題も深刻化してきます。この問題に対し、「現場での充電サービス」というビジネスが今後、増加してくるかもしれません。
横浜市のパシフィコ横浜で2024年5月24日まで開催された「人とくるまのテクノロジー展2024」では、EVに関する技術の公開も多数ありました。なかでも、ガソリン車のガス欠よりも面倒という意見もある「電欠」への対策の提案がいくつか見られました。
「EVは“電欠”が怖いし…」 実はガス欠より対策ラクかも? …の画像はこちら >>充電するEVのイメージ(画像:写真AC)。
会場でEV用のポータブル充電機を公開していたベルエナジーの担当者によると「電欠の場合、フル充電する必要はなく、最寄りの充電ステーションや自宅にたどりつける20km程度動ける電力の供給が重要になります」とのこと。
仮に電欠した車両をレッカーなどで運ぶ場合、レッカー移動の準備などで約45分、さらに最寄りの充電ステーションまでのレッカー移動時間、そして急速充電機からの給電であっても充電に少なく見積もって20分――こうした時間ロスが積みあがっていくことになります。
このレッカーの時間を充電時間に当てようと考えたのが、ベルエナジーが提案していたポータブルEV急速充電器「Roadie V2」です。従来のレッカー車による搬送ではなく、現場に駆けつけて急速充電サービスを提供するというものです。
「Roadie V2」はEVが20km程度走れる、20kwのバッテリーと専用の電力変換器を連結して使用します。JAF(日本自動車連盟)では既に使用されており、変換機とバッテリーを複数個搭載し、レッカー車に代わって同製品をクルマに積んで現場へ急行、約20分の急速充電を行い、走行可能にするサービスが提供されています。
「同じ車線での運用の他に、渋滞の場合は反対車線に横づけしての使用も考えられています。充電はテスラを含め、日本で販売されている全てのEV車両のソケットに対応可能です」(同担当者)
また、基本的には変換機とバッテリーをクルマに乗せた状態で電欠車両に充電を行う想定ですが、電力変換器が27kg、バッテリーが1個33kgと計約60kgという重量のため、2人以上の人員での手持ちや、台車での輸送もギリギリ可能で、両車線が渋滞しているなど、クルマの入るスペースもない場合にも使える仕様にはなっているとのことでした。
また、クルマの発電用機械などを製造しているTPRは、バイクのエンジンで発電し、その電力を直接供給するという方法を紹介していました。
まだ実用前の段階とのことですが、目的としては小回りの利くバイクで現場に急行し、ディーゼル発電機のかわりにバイクのエンジンに連結されているモーターを使い充電するとのことです。担当者は「特に高速道路などの場合、最寄りの充電ステーションにつくため10-20分走れる電気があれば問題ありません。その分を供給するのがこのバイクです」と話します。
なお、ベルエナジーがJAFに聞いた話によると、EVの台数増加とともに、電欠による立往生なども年々急速なペースで増加しているとのことです。そのため25分程度の時間ロスの短縮でも、今後は重要になってくるとのことでした。

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