ハースト婦人画報社は5月30日、高額消費の実態とその背景にある動機を探る意識調査の結果を発表した。調査は2024年2月19日~2月25日、自社のメディア読者、Eコマース会員等女性3,360名を対象にインターネットで行われた。
○”ラグジュアリー消費者”は多彩な幸福への希求力が強い
同社はラグジュアリー商材やサービスに特化した富裕層マーケティング活動「Business to Luxury(B2L)」を展開している。本調査では”直近1年以内に1度に100万円を超える高額な支出・購入の意思を決定したか?”の設問で、3,360名の女性回答者の中からその有無、項目、頻度、金額などにより1,014名をセグメントし「ラグジュアリー消費者」と定義し分析している。
“あなたにとって人生を豊かにする消費とは?”という設問に対してラグジュアリー消費者の回答は自己表現、向上心や社会的ステイタスの実現、美と健康の追求、日常からの離脱への欲求などに由来する多彩なコメント欄となっていた。特に「食事」は「家族」「友人」と「美味しい」の結びつきが強く、家族や友人との時間を大切にしている様子がうかがえた。
○ラグジュアリー消費者が100万円を超える支出を決めるときに重視すること
100万円以上の高額消費を決定する際に重視したことは何かという設問に対する自由回答で、ラグジュアリー消費者のコメント欄には、まず「価値」「デザイン」「品質」など合理的な理由が多く、「ときめく」「好み」「心」などの情緒的な理由も語彙豊かに多種類見られた。ラグジュアリー消費者の高額消費の動機は理性的であると同時に、感性による多彩な表現で綴られている。
1年以内の間にラグジュアリー消費者たちが100万円以上の支出をした回数をランキングにした。「ファッション・ジュエリー」では1,128回、「旅行」では794回、「美容関連」では349回。そして、その他にも「株・投資」「子どもの教育関係」や「自動車」や「家具」など、多様な項目で1度に100万円以上を支出している様子がうかがえる。
ラグジュアリー消費者の消費傾向の中でもユニークさが際立って見えるのは「美容」「ファッション・ジュエリー」「旅行」の3項目だが、「美容クラスタ(325人)」「ファッション・ジュエリークラスタ(390人)」「旅行クラスタ(299人)」を抽出し、3者を比較することで見えてきた結果についてまとめた。
「美容クラスタ」は普段づかいでも美容関連への支出が他クラスタより高く、その他の各項目でもバランスよくハイレベルの支出をキープしていることがわかった。彼女たちは美容、美容関連(下表:化粧品・美容エステサロン・美容クリニック)に月平均約22万円を投じている。
「ファッション・ジュエリークラスタ」は普段は自ジャンルに予算を集中投下している傾向があり、直近では海外旅行への関与は低めという結果が出た。彼女たちの約56%がファッションやジュエリーは「担当者(特定の店員や外商など)を通じて購入する」と回答。また約58%が「ファッションやジュエリーで自己表現する機会が多い」と答え、購入時に自分の個性や立場を理解してもらいつつパーソナライズされたコミュニケーションを好む傾向が見えた。
「旅行クラスタ」は美容やファッションに支出は抑えめ。美容クラスタと同程度の予算で国内旅行をおこなっているが、海外旅行の予算は突出している(年額約188 万円)。彼女たちの約56%が「長期で滞在し自己再生の時間としたい」と回答。他クラスタよりも長期滞在を好み、「旅行先では極何もしないで過ごしたい」という設問に対し約53%が「あまりあてはまらない」「まったくあてはまらない」と回答し、旅行クラスタは長期滞在かつアクティビティ志向だった。