観光客に人気がある京都府。
寺社仏閣を含めた古都の街並みを見るため、海外からの観光客も数多く訪れています。
写真撮影を楽しみながらの街歩きは、旅行の楽しみ方の1つですが、振る舞いに問題があり、地域住民とのトラブルに発展するケースもあるようです。
京都府の場合、迷惑行為に対する、ある地区の対応に賛否の声が上がりました。
以前より、観光客による芸舞妓のつきまといや、ゴミのポイ捨てなどに悩まされてきたのは、同府の京都市東山区にある祇園地区。
メインストリートの花見小路の脇にある、個人や法人が所有する私道の通り抜けや、住宅の撮影などをする観光客も確認されていました。
数々の迷惑行為を受け、同区の地元協議会は、2024年4月末頃から私道の通り抜け禁止を告げる高札の順次設置を決定。
同年5月29日には、花見小路の脇道である私道『小袖小路(こそでこうじ)』に高札を設置する工事が行われ、話題となりました。
※写真はイメージ
『小袖小路』はネットドラマで舞台となったことから、ファンが撮影の地を巡る、いわゆる『聖地巡礼』の場所の1つとして観光客が押し寄せていました。
そのため、『小袖小路』を通り抜け禁止とし、違反者には罰金1万円を課すことにしたのです。
立札には、日本語・英語・中国語で「私道につき、観光客、ガイドツアーの写真撮影や進入禁止」と書かれていました。
日本では観光客の増加にともない、各地で『オーバーツーリズム(観光公害)』が発生し、たびたびニュースになっています。
京都府での出来事を知り、多くの人が賛成の声を上げる一方、否定的な意見もあるようでした。
【肯定的な意見】
・夜中に私道に入る団体客とかがいたので、いいことだと思う。自分たちでルールを作って、守るしかない。
・こんな無粋な立札を立てないといけない現状が悲しいけど、当然の措置。
・外国人観光客の場合、文化と言葉の違いで、何がマナー違反なのかを伝えるのが難しい。ちょっとの注意だと響かないと思うので、立札は正解。
【否定的な意見】
・地域住民の気持ちは分かるけど、罰金はどうなんだろう。街の景観も悪くなるし…。
・京都府自体が観光に特化しているから、こんな事態になっている部分があると思う。そこから見直そうよ。
・「通行料として1万円を払ったら通れるし、撮影もやり放題」って考える人がいそうなので、効果には懐疑的。柵を立てて、警備員を配置したほうがいい。
飲食店が立ち並ぶ地域など、経済を回すことにつながる場所に、観光客が集中するのであれば喜ばしいこと。
対応しきれないほどの観光客が、望ましくない場所に集まる要因については、一考の価値があるかもしれません。
とはいえ、すでに人気スポットと化している場所では、早急な対応が求められているもの。
日本人であっても、観光先がどういった地域なのかを、毎回詳しく把握している人は少数派です。
知らぬ間に、地域住民にとって暗黙のルールを破り、迷惑をかけている可能性もあるでしょう。ましてや、海外旅行ならなおのこと分からないはず。
それを踏まえると、ひと目で禁止事項が分かる立札は、海外から来た観光客側にとってもプラスになるかもしれません。
事態が改善に向かう道を、観光地と観光客の双方で模索していきたいですね。
[文・構成/grape編集部]