ドローン対策?
ウクライナの防衛系メディアである「ミリタヌイ」は2024年5月22日、防御力を強化したウクライナ軍のM1A1「エイブラムス」主力戦車が登場したと報じました。
損失増えるウクライナ軍の「エイブラムス」戦車 車体正面に旧ソ…の画像はこちら >>M1A1「エイブラムス」。画像はオーストラリア陸軍の車両(画像:アメリカ陸軍)。
このことは、ウクライナの大統領首席補佐官も務めるジャーナリストのセルヒー・レシチェンコ氏の公式インスタグラムの写真で明らかになったとのことです。
写真が公開された車両には、追加装甲の一種である旧ソ連製の「爆発反応装甲(ERA)」である「Kontakt-1」がシャーシ前面の下部と上部に装着されています。
これまで、ウクライナのM1A1「エイブラムス」は、側面の装甲強化のために、アメリカ軍も使用している純正の爆破反応装甲である「ARAT(Abrams Reactive Armor Tile)」を装備していましたが、今回はそれに加え正面の防御も強化された形です。
爆破反応装甲は、対戦車ミサイルなどで用いられる、成形炸薬弾への対策として装備されています。
成形炸薬弾は、着弾時の圧力により発生した液体金属の超高速噴流(メタルジェット)が装甲を貫通し車内にダメージを与えますが、爆破反応装甲では、その前に装甲内の爆薬が成形炸薬弾の圧力に反応し、起爆することで、メタルジェットの発生を阻害します。
M1A1「エイブラムス」は2023年9月にアメリカからウクライナに31両が供与されました。同車は旧式とはいえ、アメリカ軍が使用するM1A2に近い性能に改修したといわれていましたが、その期待に反し実戦投入直後から被害が相次ぎ、3分の1程度車両が失われ、後方に下げられたと報じられています。
現状、戦車同士の戦闘はあまり発生しておらず、M1A1「エイブラムス」の損傷や損失の殆どは対戦車地雷や自爆ドローンによる攻撃と言われており、突入してくるドローンからの損害を少しでも軽減したいという狙いがあるようです。なお、「Kontakt-1」はドイツから同じく供与された主力戦車「レオパルト2」にも装備されています。