胸手術の男子中学生が肺気胸による呼吸不全で死亡 新潟市民病院が医療事故として約8300万円で和解

2022年12月、新潟市民病院で漏斗胸の手術をした新潟県内に住む男子中学生が2023年2月に呼吸不全のため死亡したことがわかりました。市民病院は医療事故として遺族と和解協議を進め、約8300万円で合意に至ったと発表しました。

男子中学生は2022年12月初旬に漏斗胸に対する手術を行い、12月中旬に退院。退院後に手術の合併症として肺から空気が漏れる気胸が生じました。

その後、2023年1月初旬に外来を受診し、気胸はほぼ完全に改善していましたが、2月初旬に咳や息切れなどの症状があり、気胸が再発したと思われる症状が発生。

2月中旬に外来を受診し、両側の肺に中等度の肺がしぼむなどの虚脱があったものの、本人は呼吸苦が改善傾向にあるとし、血中酸素飽和度も良好だったことから経過観察をすることになりました。

その1週間後の外来受診時には呼吸苦もなく、肺の虚脱も改善傾向でしたが、翌日、学校から帰宅後、容体が急変。両側緊張性気胸による呼吸不全のため死亡しました。

死亡に至った原因として新潟市民病院は手術前から肺の嚢胞があり、手術後、その破裂により気胸が生じるリスクがあったことや、2023年2月中旬の外来受診の胸部X線検査で中等度の両肺の虚脱が認められた際、入院させて空気を抜き、肺を通常の状態に戻すなどの処置をとるべきでしたが、呼吸苦が改善傾向で血中酸素飽和度が良好に保たれていたため、外来での経過観察としたことと考えています。

新潟市民病院は両側緊張性気胸により死亡したことと、両側の肺気胸を外来で経過観察したこととの間に因果関係が認められると判断し、遺族との和解に向け示談協議を進めていました。

そして2024年4月25日に遺族と和解し、6月の新潟市議会での議決を条件とする和解金8369万7466円で合意に至りました。

新潟市民病院は再発防止に向け、両側同時気胸や中等度以上の肺虚脱が認められる場合、自覚症状が軽く酸素飽和度が良好であっても、患者を入院させ胸腔ドレナージを行うなど対策を行っていく方針です。

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