スプリングバレ-ブルワリ-は、クラフトビールブランド「SPRING VALLEY」を展開する直営の体験型ブルワリー併設店舗「SPRING VALLEY BREWERY TOKYO」を5月30日よりリニューアルオープンする。
店舗限定醸造ビールを含む多様なクラフトビールの展開、それぞれのクラフトビールに合わせたこだわりのペアリング提案、さらに他ブルワリーとの共同によるイベントの開催など、“驚きのあるビール体験”を創出してきた「SPRING VALLEY BREWERY TOKYO」。今回の大幅にリニューアルでは、「ENJOY! CRAFT」をコンセプトに、ビール好きはもちろん、これまでクラフトビールを飲んだことのなかった人を含め、幅広い層が楽しめるクラフトビール体験の場を目指すという。
「リニューアルオープン お披露目会」において、スプリングバレ-ブルワリ- 代表取締役社長の井本亜香氏は、2015年に「SPRING VALLEY BREWERY TOKYO」をオープンした当時、ビール市場がどんどん縮小していった時期であり、「ビールの復権」を掲げ、「ワクワクするビールの未来を、お客様と共に創っていく」ことを目指したと振り返る。
1870年に、ウィリアム・コープランドが横浜に作った、日本初の商業的成功をおさめたビール醸造所が「SPRING VALLEY BREWERY」。後にジャパンブルワリーとなり、今のキリンビールとなったが、コープランドの“おいしいビールを多くの人に飲んで、楽しんでもらいたい”というパイオニア精神を引き継ぎ、「これからの時代に向けた新しいビール文化を創ることを誓い、この名前を掲げている」という。
スプリングバレ-ブルワリ-の役割は、「業界にとっての人材育成・品質向上」と「お客様にとっての興味喚起・体験創出」の2つが大きな柱となっており、「結果として、お客様と地域や業界の交流を深め、共創し合う活気ある絆づくりに貢献できれば」との想いで様々な取り組みが行われている。そして、今後は、「継承」と「しなやなか進化」を掲げ、「キリンビールの伝統と技術を生かしながら、クラフトらしい個性や味わいがあるおいしさの追求と、新たなビアスタイルの創造への挑戦は続けながら、事業を通して、社会との共創も続けていく」とした。
そして近年、大きく環境が変化していく中、「その変化に適応しながら、クラフトビールは誰もが気軽に楽しめるものだということを体験できる場所として、魅力ある提案をしていく」という井本氏。「結果として、日本のクラフトビールがどんどん有名になり、おいしいと言われる状況をつくっていきたい」との意欲を明かした。
そして、今回のリニューアルのポイントについて、スプリングバレ-ブルワリ- マーケティングディレクターの清水大樹氏が紹介。2024年のコミュニケーションコンセプトは「ENJOY! CRAFT」で、クラフトビールづくりにかける想いに共感する様々な分野のつくり手のこだわりや創造性を組み合わせた、記憶に残る体験を通じて、クラフトビールを日常に取り込んでいくという。そして、「お客様に何度でも足を運んでいただけるように、日本らしい“四季”をテーマに、3カ月ごとにコンテンツを変え、季節のクラフト体験ができる仕掛けもつくりました」と日本らしさにもこだわっているところを強調する。
今回のリニューアルの一番のポイントは、1階と2階で業態を分けて、それぞれで異なったクラフトビールの楽しみ方ができる店舗にしたところ。1階は、感覚的にビールが楽しめるクラフトビアバルで、「ビア・ストリート」がコンセプト。クラフトビールを普段飲まない人でも楽しめる空間づくりが特長となっている。そして2階は、一連の流れの中でクラフトビールを楽しめるクラフトビアレストランで、コンセプトは「ビア・ストリーム」。1階でクラフトビールに興味を持ち、もっとクラフトビールのことが知りたくなったら2階に上がる。そんなステップアップするような世界観が演出されている。
1階は、感覚的にビールを楽しむ空間をつくるためにウォールタップを全面改装。クラフトビールならではの色の違いがわかる仕掛けが取り入れられている。さらに、全幅6メートルの大型を含む、シースルーLEDスクリーンを3カ所に設置。映像と音楽でも、楽しい世界観が表現される。
2階は、ビールに料理を合わせたペアリングが楽しめるペアリングカウンターを設置。日本地ビール協会認定のビアコーディネイターの資格を持つスタッフが、スプリングバレ-ブルワリ-のクラフトビールに合わせたコースメニューをサーブする。こちらも3カ月ごとに替わる季節のペアリングコース(完全予約制・人数限定)を用意。クラフトビールの奥深さや魅力を体験できる場にしていくという。
さらにお披露目会では、「SPRING VALLY BREWERY TOKYO」のリニューアルに関わった様々なジャンルのクラフトマンたちによるトークセッションを実施。空間演出やアートディレクションを担当した、アクシズ 代表/VVQメンバーの山崎信氏は「皆さんのクラフトビールへの愛情や熱意が、良い意味で、心地よく、すごく素敵で、自分の中にも『ENJOY! CRAFT』がすっと入ってきた」と振り返る。
地元との共創ということで、「SPRING VALLY BREWERY TOKYO」1階のスタッフが着用するユニフォームは、代官山に店舗を構えるヘンプアパレルブランド「GOHEMP」代表の橋本浄氏が手掛けている。ヘンプ(麻)は、吸湿、速乾性、強度に優れているほか、無農薬で育つ植物なので、環境負荷減少にも貢献。ユニフォームは藍染のデニムとなっており、「今後の経年変化も楽しめる」という。なお、物販コーナーでは、同じく「GOHEMP」が手掛けたコラボTシャツやトートバッグも販売される。
店内のLEDスクリーンに映し出される映像は、ドローンエンタテインメント 代表の横田淳氏がドローンを使って撮影したもので、日本の四季折々の風景を楽しむことができる。ドローンで撮影することで、通常とは異なる視点での映像となるため「ビールを飲みながら映像を見て、新しい気付きやコラボレーションが生まれるといいな」と横田氏。音楽のアレンジを担当したDJ RYOHEY氏は「既存のビールに敬意を持ちつつ、より良いもの、新しい味へと挑戦していくマインドに強く共感した」と振り返った。
料理を担当する、SPRING VALLY BREWERY TOKYO 総括料理長の斉藤正博氏は、個性豊かなクラフトビールに合わせた食事を楽しんでいたくことをモットーに料理を開発。多様性にこだわりつつ、「ビールと合わせておいしくなるように意識して作っている」と、クラフトビールとのペアリングを意識して、メニュー開発を行っていることを明かした。
最後に、SPRING VALLY BREWERY TOKYO ヘッドブリュワー/開発責任者の辻峻太郎氏は、「ビールを創っている人間なので、ここで創ったビール、ここでしか飲めないビールを楽しんでいただきたい」と前置きしつつ、「空間や体験にこだわって設計されているので、ビールだけでなく、思い出に残るような体験をしていただき、一度ならず、二度三度来ても楽しめるようなお店を一緒に作っていきたい」と締めくくった。