竹の成長はかなり早く、場所によっては豪雨での地すべり原因にもなり得ます。その厄介な植物を利用した複合樹脂が「BAMBOO+」です。
2024年5月24日までパシフィコ横浜で開催された「人とくるまのテクノロジー展2024」では、クルマの内外装の素材として木材を活用する動きもありました。トヨタ車体では森林の成長過程で密集化する立木を間引いた間伐材を利用した素材をアピールしていたほか、自動車部品メーカーである東海理化では、竹を利用した竹繊維複合樹脂「BAMBOO+(バンブープラス)」を公開していました。
このクルマの床、「竹」なんだぜ…? どうにかしたい“危険な植…の画像はこちら >>竹繊維複合樹脂「BAMBOO+(バンブープラス)」。展示されたEVの収納スペースの床材もBAMBOO+製(乗りものニュース編集部撮影)。
場所によっては間伐材以上に深刻になっているのが放置竹林の問題です。東海理化ブースの担当者は「竹はほかの木と比べると異常に成長が速く、森では日陰をつくり、他の木を枯らしてしまいます。しかも竹は根が浅いので地すべりの原因にもなります」と話します。竹は2~3か月で成竹となり、1日に120cmも伸びたという信じがたい記録もある植物です。
そうした処理に困った竹を原料としたのが「BAMBOO+」で、竹を55%混ぜた樹脂を使い、部品を成形するそうで、「利点としては石油由来のものを半減できるということがあります」と担当者。しかも、成長が異常に早いため、伐採しすぎるということもありません。まさに持続可能性(サスティナビリティ)の高い素材といえます。
今回はEVの収納部分の床材として「BAMBOO+」を公開していましたが、今後はほかの部分への使用も考えるとのこと。担当者は「それなりに高価なものなので、内装向きとは思います」と明かしました。
東海理化は既に「BAMBOO+」の量産段階に向けての準備を進めており、高知県香南市に建設した竹繊維複合樹脂及び竹繊維加工用の新工場が2025年度より本格稼働を予定しています。生産した素材は、自動車部材、家具、建材設備、家電製品、容器等の分野へ役立てるとのことです。また同社以外にも、トラックの床材「アピトン」の代用として使うという動きもあります。