1月の能登半島地震で津波被害が確認された新潟県上越市直江津地区で地域の避難計画の見直しに向けたワークショップが開かれました。しかし、避難方法をめぐり行政と住民の間で議論が紛糾し、話し合いは進みませんでした。
今年1月の能登半島地震で震度5強を観測し、津波被害が確認された上越市直江津地区。
市は当時の課題を踏まえ、避難計画の見直しを図ろうと地域住民によるワークショップを開きました。
【上越市の担当者】
「今までは車での避難を否定してきた。しかし、要支援者等に限定した自動車による避難を促していくという方針で進めたいと思う」
市はこれまで「原則徒歩」としてきた避難方法について、「要支援者などに対しては車での避難を促す」とする新たな方針を説明。
しかし、渋滞発生の懸念などがある中、突然示された方針変更に住民からは不満が噴出します。
【住民】
「地震のときに車で避難するというのは大変な問題。阪神と東日本のときの経験で色んな形で考えざるを得ないわけでしょ」
これに対し、市は。
【上越市の担当者】
「これは市としての方針ですけれども、一案としての方針です。一案」
あくまで地域の実情に合わせ、住民の間で避難方法を考えてほしいとしますが…
【住民】
「危機管理課の責任を町内会に丸投げしているような形でしょ」
結局、議論は紛糾し、この日は避難計画見直しに向けた具体的な話し合いは進みませんでした。
【上越市危機管理課 岩崎健治 課長】
「住民が考えていることと、行政が考えていることのギャップを埋めていって、それで一人でも多くの人を津波から守るという対策は住民と一緒になって考えていきたい」
市は住民との意見交換を重ね、避難計画を見直し、10月に防災訓練を行うことにしています。