エルニーニョ監視速報 エルニーニョは終息に向かうも 平常状態は長続きしない可能性

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気象庁は、今日10日「エルニーニョ監視速報」を発表しました。それによると、昨年の春から続いているエルニーニョ現象は終息に向かい、この春の間に平常の状態になる可能性が高くなっています(90%)。その後、秋にかけても平常の状態が続く可能性はありますが(40%)、ラニーニャ現象が発生する可能性の方が高くなっているとのことです(60%)。
4月の実況
4月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値からの差は+0.8℃で、3月に比べて0.4℃下がりました。エルニーニョ現象発生の判断に使用している、5か月移動平均値の2月の値は+1.7℃で、昨年4月から11か月連続して+0.5℃以上となっています。太平洋赤道域の海面水温は中部を中心に平年より高く、太平洋赤道域の海洋表層の水温は中部と東部で平年より低くなりました。太平洋赤道域の日付変更線付近の対流活動と、中部太平洋赤道域の大気下層の東風(貿易風)は、共に平年と同程度でした。このような海洋と大気の状態は、エルニーニョ現象時の特徴が弱まっていることを示しています。以上から、昨年の春から続いているエルニーニョ現象は、終息に向かっています。
今後の見通し
実況では、太平洋赤道域に海洋表層の冷水が見られます。大気海洋結合モデルは、冷水の東進が続き、エルニーニョ監視海域の海面水温が次第に下降して、春の間に基準値に近づくと予測しています。その後、太平洋赤道域の西部~中部で貿易風が強まるとともに、中部~東部の冷水がさらに強まり、秋にかけてエルニーニョ監視海域の海面水温が基準値に近い値か、基準値より低い値で推移すると予測しています。以上から、この春の間にエルニーニョ現象が終息して、平常の状態になる可能性が高くなっています(90%)。その後、秋にかけても平常の状態が続く可能性はありますが(40%)、ラニーニャ現象が発生する可能性の方がより高くなっています(60%)。
西太平洋熱帯域及びインド洋熱帯域の状況
【西太平洋熱帯域】4月の西太平洋熱帯域の海面水温は、基準値より高い値でした。今後、秋にかけて基準値に近い値か基準値より高い値で推移すると予測されます。【インド洋熱帯域】4月のインド洋熱帯域の海面水温は、基準値より高い値でした。今後、夏の前半までは基準値より高い値で推移し、その後、次第に基準値に近づくと予測されます。
ラニーニャ現象とは?

上記にもまとめた通り、この夏の間は、平常の状態が続くよりも、「ラニーニャ現象」が発生する可能性の方が高くなっています(60%)。「ラニーニャ現象」が発生するのは、太平洋赤道域です。このあたりは貿易風と呼ばれる東風が吹いているため、通常、暖かい海水は西側のインドネシア付近に吹き寄せられる一方、東側の南米沖では、海の深い所から冷たい海水がわき上がっています。ただ、何らかの原因で東風が強まると、西側の暖かい海水が厚く蓄積するとともに、東側にわき上がる冷たい海水の勢いが強まり、南米沖の海面水温が通常より低くなります。このように、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて、海面水温が平年より低くなり、その状態が1年程度続く現象を「ラニーニャ現象」と呼びます。「ラニーニャ(La Nia)」とは、スペイン語で女の子という意味で、「神の子キリスト」を意味する「エルニーニョ」の反対現象ということから名づけられました。「ラニーニャ現象」は海で起こる現象ですが、発生すると大気にも影響を及ぼし、世界各地で気圧配置などがいつもとは違った状態になります。雨や雪の降りやすい場所や、風の吹き方、気温などが変わってくるのです。「ラニーニャ現象」発生時の日本は、梅雨は西日本で、夏は沖縄・奄美で雨量が多い傾向です。

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