今、子どもたちの間で、極端な食事制限をしてしまう拒食症や、食べ過ぎてしまう過食症などの「摂食障害」が増えています。日本摂食障害学会によると、コロナ禍で友人とのコミュニケーションが取りづらくなったストレスなどがきっかけで、2019年から2020年で10代の患者は1.5倍以上に増加しました。今回は、高校生、小学生の時に摂食障害を発症した2人の女性を取材しました。
「骨が見えるほど、うれしい」 身長155cmで体重26kg …の画像はこちら >>
「拒食症」は、太ることへの恐れから極端な食事制限をしてしまう摂食障害の一つ。愛知県に住む33歳の女性は、15年以上この病気に苦しんでいます。身長158センチの女性の標準体重は約55キロですが、現在の体重は38キロです。
CBC
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(15年拒食症に悩む女性)「1番低い時が27キロだったので、(これでも)かなり増えました。以前は30キロの時も『まだまだ、もっと痩せたい』と思い続けていました。ガリガリの骨が見えているくらいが理想で。自分の骨が見えれば見えるほど、うれしくてしょうがなくて」
きっかけは、体重が60キロだった高校3年生の時に“痩せたい”と思ったことでした。摂取カロリーを削ることにとりつかれ、食べるものがどんどん減っていったといいます。
(15年拒食症に悩む女性)「周りもおしゃれをして、化粧もしてという時だったので、すごく体形と顔にコンプレックスがありました。カロリーが怖かったので、みそ汁は具の小さい大根とかわかめだけ、味ご飯も具のニンジン、こんにゃくだけをつまんで食べていた。(1日)30キロカロリー以内で生活していました」
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この年代には約2000キロカロリーが必要。少ない栄養しか取らない生活を半年以上も続けた結果、高校卒業時には体重が18キロ減って42キロに。そこからは、止まらなくなったといいます。
27歳の時には体重が27キロまで落ち、ついに入院。歩けなくてトイレにも行けなくなり、服を脱いだり着たりもできなくなったそうです。体温は34度まで下がり、脈拍も少なくなり、一時は命の危険もありました。
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それから6年。少しずつ食べるように努力して、何とか体重を増やしましたが、今も外食はせず、スーパーへ買い物に行ってもカロリーの高いものは選ぶことができないそうです。食事は、お米ではなく、カロリーが低いオートミールがメイン。今までは野菜ばかりでしたが、痩せてしまうので、肉か魚か豆類は食べるようにしているそうです。
女性は現在、食べ過ぎてしまう「過食症」という真逆の症状にも苦しんでいます。きっかけは、食べ過ぎた時に吐いて、気分が楽になったこと。最近は毎日のように、過食と嘔吐を繰り返しているといいます。(15年拒食症に悩む女性)「食べると止まらなくなって、コントロールできないというか。泣きながら吐いて、つらいのに、またやってしまう。過食嘔吐すると(胃酸で)歯がぼろぼろになります」
15年以上続く摂食障害との闘い。病院が少なく薬もないので、一度かかってしまうとなかなか治りにくいと悩みを吐露します。(15年拒食症に悩む女性)「友だち付き合いも悪くなり、孤独になりました。今の時間は一瞬しかないのに、全部つぶれていく。何も考えずに、ご飯を食べたいです」
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心の病である摂食障害の患者は現在、国の調査によると推定約24万人。摂食障害の死亡率は約5%にのぼり、心の病の中では最も高いといわれています。患者を支援している団体は、現状に危機感を持っています。
(支援団体「摂食障害よりみち」・鈴木佳世代表)「最近、若年化していると感じます。SNSが普及し、細身できゃしゃな子たちを見て、そうなりたいと思う子も多いのかなと」
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愛知県瀬戸市に住む現在18歳の渡邊優杏さんは、小学6年生で拒食症になりました。渡邊さんは、完璧主義者だったと当時を振り返ります。
(渡邊優杏さん)「性格的に自分が一番良くないと気が済まないタイプだったので、痩せている人の写真を見ると、これじゃダメだ、みたいな感じで。いかに数字を減らすか、ゲームみたいに。(体重が)減った時の快感に、どんどんはまっていった」
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とにかく食べないようにして体重を減らし続け、小・中学生のときには入退院を繰り返しました。朝ご飯は食べず、学校でも給食は1口2口だけ。身長は155センチでしたが、体重が26キロにまで落ち、表情もなくなったといいます。
(優杏さんの母親)「まさか小学校の子が(拒食症に)なるなんて。命が危ないのは分かっているのに、何もしてあげられないのが、すごくつらかったです」
渡邊さんが拒食症を克服したのは、高校1年生の時。きっかけは、母親の勧めで、動物性のものを食べない「ヴィーガン」の存在を知り、食べることへの抵抗が減ったことでした。
今は、体にいいとされる発酵食品にも注目するようになり、こうじの調味料を一から手作りしています。お手製の発酵調味料などで作った、卵や牛乳を使わないお菓子を販売する活動も行っています。
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(渡邊優杏さん)「やっぱり、食べたいものを食べた時の方が、体は喜んでくれる。自由に楽しんでいいと伝えたいです」
毎日の食事で体を作る子どもたちにとって、摂食障害は気を付けなければならず、早期発見、早期治療が必要です。専門家によると、家庭や教育現場などで、細かく子どもたちの体重の変化を気にかけることが大切です。
CBCテレビ「チャント!」4月24日放送より