いまや長距離を飛ぶ国際線用の飛行機だけではなく、国内線でも珍しいものではなくなった機内モニター。かつて世界初の「機内でテレビ放映」を実施したとされるANAに、現在に至るまでの歴史を聞きました。
2024年現在、旅客機の個人モニターで映像を視聴することは、多くの航空会社で一般的な過ごし方のひとつになりつつあります。この潮流をたどると、実はその始まりはANA(全日空)かもしれません。同社は世界で初めて、機内でテレビを放映した航空会社として知られているのです。
「旅客機の機内で映像を見る」元祖はまさかのANA? 乗客は最…の画像はこちら >>ANAの国内線むけ新旗艦機「787-10」。全席に個人モニターが搭載されている(乗りものニュース編集部撮影)。
ANA機で「機内テレビ」の放映が開始されたのは、東京オリンピックを翌年に控えた1963年。羽田~伊丹線で導入されたそうです。共同通信によると、「特殊アンテナを機体に取り付けて電波を受信、5台のテレビでプロ野球ナイターが中継され、乗客はイヤホンをつけて観戦」したとか。
同社によるとその後、1978年に「トライスター」ことロッキードL1011で、プロジェクターを使った機内エンターテインメントの放映サービス「スカイサービス」が開始されたとといいます。
ANAで個人用モニターが初めて搭載されたのは、1991年の国際線で、現在の「ビジネスクラス」に相当する「CLUB ANA」で装備されたといいます。その後、国際線のエコノミークラスにも2002年から個人モニターが導入され、2017年には、エアバスA321neoに国内線用仕様機として初めて全席に個人モニターが搭載されています。
なお、全クラスで個人モニターを世界で初めて導入したのは、イギリスのヴァージンアトランティック航空とされています。また、国内航空会社の国内線用仕様機で全席モニターを装備したのは、かつてのJAS(日本エアシステム、2004年にJALと合併)の、「レインボーセブン」ことボーイング777で、その導入は1997年のことでした。