テンス・シオ・ワラサ…聞きなれない「謎の魚」が毎月届く 累計販売2万5000食 ママ大助かりの定期便が人気

漁業が盛んな三重県紀北町にある従業員数4人の小さな会社「ディーグリーン」が今、注目を集めています。「mogcook(モグック)」というブランドで通信販売している離乳食用の魚が、累計2万5000食を売り上げ、SNSなどで話題に。テンス、シオなど、あまり知られていない魚の切り身ですが、利用したお母さんたちにはとても好評です。今回、そんな「mogcook(モグック)」の人気の秘密を取材しました。
三重県いなべ市の松田那々子さんは、1歳を迎えた子どもの離乳食にモグックを利用しています。月に一度届く“謎の魚”の切り身は、シオ、ワラサ、メジナなど聞きなじみのない名前がほとんどだそうです。
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魚の切り身は、つぶしてノリと一緒に煮るなどしています。子どもも魚が気に入っていて、いつも完食するのだとか。産地の分かる「子どもが食べても大丈夫な魚」であることや「骨が抜いてある」ことなどが、利用者にとって安心感に繋がっています。(松田那々子さん)「自分で魚をあげるのはハードルが高い。骨が入っているとか、下処理はどうするとか。(モグックは)それを全部解決してくれる。入れるだけって感じです」
モグックを展開する会社ディーグリーンは、元々、ホームページやパンフレットなどの制作が本業で、10年前に離乳食事業に参入しました。担当の立花圭さんは海がない埼玉県育ちです。
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(ディーグリーン取締役・立花圭さん)「この町に来て、衝撃的なくらい、いろいろな種類の魚がありました。この感動をいろいろな人に味わってもらいたいと思いました」
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紀北町には県内有数の水揚げ量を誇る長島港があります。ディーグリーンは、地元のパートナーと協力し、離乳食で使う魚を選んで買い付けをしています。
この日も、地元のベテラン仲買人が、水揚げの状況に応じて魚を仕入れていきます。今回は、一般的なスズキよりも平べったい冬が旬のヒラスズキ、真っ赤な見た目が特徴のテンス、カンパチの幼魚のシオなどを仕入れました。これらの魚は、知名度の低さや不安定な漁獲量などから需要が少なく、時には捨てられることもあるのだとか。立花さんは「おいしい魚なので食べてほしい」との思いで、離乳食への利用を考えたそうです。
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(仲買人・脇竜至さん)「鮮魚で売れにくい魚でも使ってもらえるので、助かっている」
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魚には、体や脳の発育に欠かせないカルシウムやドコサヘキサエン酸などが含まれています。栄養価は高い一方、調理の手間や、発育に応じて食べられる魚に限りがあるため、一般的に離乳食として売られているのは、他の食材と一緒に調理したまぜご飯などが主流です。
ディーグリーンでは、魚そのもののおいしさを伝えるため、加工は最低限にとどめています。うろこを落とし、手作業で骨を抜いた魚は、水揚げからわずか3時間ほどで港の冷凍庫の中へ。ある程度の量になったら引き取って、もう一つの加工場に持っていきます。
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最後の工程を担当するのは、三重県尾鷲市在住の黒次美さん。市内で鮮魚店を営む両親のもとで育ち、幼少期から魚を調理してきた超ベテラン主婦です。
(黒次美さん)「骨が残ったりするから、そこに気を付けて(切り分ける)。小さい赤ちゃんが食べるので」
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10センチほどにカットした魚には味付けなどはせず、身が固くなりすぎないよう気を付けて蒸していきます。皮を付けたままにするのもこだわり。こうして、年間約1トンが離乳食用に変わります。離乳食用の魚は3種類1セット(15パック入り)で4210円(送料別)。生後5か月頃は白身魚、9か月頃からは赤身魚など、食べる子どもの発育に合わせて旬の魚を送ってもらえるのも、モグックが人気の理由です。
(ディーグリーン取締役・立花圭さん)「食べるのは赤ちゃんですが、料理をするお母さんやお父さんに、魚っていっぱいあるんだと感じてもらいたい」
流通せず、捨てられていたかもしれない“謎の魚”が、港町から届く「安心できる離乳食」として、新たな活路を開いています。
CBCテレビ「チャント!」4月23日放送より

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